江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
アルトネ編集部 2025/01/08 |
革新的手法と映画哲学によって数々の傑作を世に残したドキュメンタリー作家、佐藤真。ありきたりの「日常」を撮りながらも、その中に潜むもうひとつの世界への入り口を探し、言葉にからめとられる前の世界の感触を伝えた佐藤氏の作品は、2007年に49歳で突然この世を去った後、今なお多くの人たちに影響を与え続けています。
今回のレトロスペクティブでは、アート、パレスチナ、記憶等、佐藤氏が見つめ伝えた珠玉の7作品を一挙公開。
福岡会場では、長年フィルムの所在がわからなくなっていたという「おてんとさまがほしい」(1994)の16ミリフィルムを特別上映(1/11)。本作品は、映画照明技師・渡辺生さんが、アルツハイマー病と診断された妻・トミ子さんの日常を撮り続けた映像を、佐藤氏が構成・編集したもの。シネラ学芸員の杉原永純氏は「過度に一般化も個別化・差別化もせず、カメラがとらえたものを奇をてらわず、見る側にそっと差し出してくれる作品。渡辺生さんが撮影し、佐藤真さんの視点によって紡がれた映像が、どのように映画に至るのか、そのヒントが垣間見える作品です」
その他、日本のドキュメンタリー映画の金字塔と言われている、新潟水俣病の舞台ともなった阿賀野川流域に暮らす人々を描いた長編デビュー作『阿賀に生きる』(1992)と、その10年後の人々を捉えた『阿賀の記憶』(2004)、知的障害者と呼ばれるアーティストたちの活動を通して芸術表現の根底に迫った『まひるのほし』(1998)、重度の自閉症を抱えた一人のアーティスト今村花子と、彼女を取り巻く家族の物語『花子』(2001)、パレスチナの窮状と真実を世に伝え、和解と共生の地平を探り続けた知識人エドワード・サイードの不在を見つめた『エドワード・サイード OUT OF PLACE』(2005)、36歳で夭逝した写真家・牛腸茂雄の作品世界に肉薄する『SELF AND OTHERS』(2000)もあわせて上映。
映画の上映後、小森はるか氏(映像作家)、飯岡幸子(映像作家)、清田麻衣子(編集者・「里山社」代表)(1/11)、中野真紀子氏(翻訳家・「エドワード・サイード OUT OF PLACE」の字幕を担当)(1/19)を招いたトークイベントを実施する回も。
映画史に燦然と輝く傑作の数々、ぜひこの機会をお見逃しなく。
暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE
会期:1月8日(水)~1月19日(日) ※休館・休映日除く
配給:ALFAZBET、パラブラ(「おてんとうさまがほしい」を除く)
観覧料:
大人=1400円/学生(大学生・高校生・中学生・小学生)および各種割引=700円
※以下の方が割引となります(要証明書・会員証原本提示)
①福岡市在住の65歳以上の方②「わたすクラブ」会員③障がい者の方および介護者の方1名
上映作品&スケジュールの詳細はこちら
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