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久留米愛を凝縮 演出写真展 「たくさんの人の力で、写真力強く」撮影・演出の浅田政志さんに聞く

2025/03/08 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 福岡県久留米市といえば、ラーメン、伝統工芸品の久留米絣(かすり)、そして筑後川のかっぱ…? 多彩な名物をぎゅっと凝縮し、久留米の魅力を丸ごと詰め込んだ写真10点が完成した。撮影したのは、独創的な演出写真で知られる写真家の浅田政志さん。10の名物にまつわるエピソードを市民から募集し、投稿者本人らも被写体となり思わず笑みがこぼれる写真を一緒に作り上げた。同市六ツ門町の「久留米シティプラザ」で30日まで展示されている。入場無料。 (大矢和世)

「かっぱ駅」での撮影の様子を、お披露目会でも再演してみせた参加者と浅田政志さん(左)

 浅田さんは、自身の家族総出で消防士やロックバンドなどに扮(ふん)した作品「浅田家」や、NHKドラマ「ブギウギ」のポスターなどを手がけてきた。今回の写真展「わたしとくるめ」は、舞台芸術になじみがない人もプラザに立ち寄る契機になるようにと企画された。館内のあちこちにパネルを配置し、地下1階から地上3階までを巡って鑑賞する。

 2月28日、エピソードが採用された投稿者や撮影に参加した市民たちを招いてお披露目会が開かれた。

 「日常の風景だった場所が、撮影で、かけがえのない思い出になった」。写真を見上げて語ったのは「かっぱ」で採用された古賀美陽(みはる)さん(16)と仁美さん(53)の親子。かっぱ形の駅舎で知られるJR田主丸駅を舞台に、美陽さんを送迎する日々の光景からどんどん想像が膨らみ、「将来、娘の元にかっぱのような夫が現れるかも。まだ迎えに来ないで」と仁美さんが願う、そんな投稿が写真で表現された。

古賀さん親子のエピソードが採用された「かっぱ」

 昨年8月の撮影時に記者も取材で立ち会った。浅田さんは、古賀さん親子や、通行人役の親子らの配置を念入りに確認し、かっぱ姿に衣装替えして登場した。ゴム製造が盛んな地元企業製の「上履き」を履き、ラーメンや焼き鳥、日本酒をたらふくおなかに詰め込んだという設定のオリジナルキャラ「あさっぱ」だ。炎天下でもユーモラスに盛り上げる浅田さんに、みんな自然と笑顔になった。

「こうやって水をかけながら撮りましたね」と撮影風景を振り返る浅田さん

 熱々の麺をすする、家族それぞれの思いが写り込んだ「ラーメン」や、城島酒蔵開きで酔っぱらい、毎回迷子になるという「お酒」…。お披露目会では投稿者がエピソードを語り、浅田さんが「この顔、最高でしょう」「びっしょびしょに水をかけて撮りましたね」などと撮影を振り返った。

「ラーメン」の撮影を振り返る投稿者家族と浅田さん(右)

 久留米で暮らす人々が、心に残る時間をつづり、そして撮影でその思い出を“再演”することで、また新たな思い出のページが加わった。写真展を訪れた人は、そこに自分の記憶をも重ねられるかもしれない。お酒での失敗? それとも、家族との思い出の味―?

●「たくさんの人の力で、写真力強く」 撮影・演出の浅田政志さんに聞く

 専門学校での制作を契機に、演出写真をライフワークとしてきた浅田政志さん=写真。被写体が演じながら撮る演出写真の魅力を聞いた。

 浅田さんの作品は、撮影時に被写体やスタッフらと語りながら、世界を作り込んでいく。「自分だけでは思いも寄らないアイデアや個性が生まれ、たくさんの人の力が入ることで、写真も力強くなる」と語る。

 久留米での10点には、被写体計80人に加え多くの協力者が参加した。今回は、浅田さん自身も「あさっぱ」として写り込んだ。「自分が毎回出るわけじゃないけど、今回は一緒に楽しもうと。『かっぱもいるかもしれない』と思えるのは久留米ならでは」と笑う。

 現在進行中という岡山市など、今後も全国の町でコラボ撮影を続ける。「写真があったからこそ出会えた人と、その町でしか撮れないものを撮る。こんなに幸せなことはない」

=(3月6日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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