特別展
奈良 中宮寺の国宝
2021/01/26(火) 〜 2021/03/21(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
秋吉真由美 2021/02/11 |
九州国立博物館(福岡県太宰府市)で特別展「奈良 中宮寺の国宝」が開催中です。聖徳太子ゆかりの寺、中宮寺。飛鳥時代に奈良県の斑鳩(いかるが)に尼寺として創建されました。
同展では、中宮寺のご本尊である国宝「菩薩半跏思惟像(ぼさつはんかしゆいぞう)」が九州初公開されるほか、1400年におよぶ中宮寺の歴史を象徴する寺宝が一堂に並びます。
聖徳太子と母にゆかりのある中宮寺
国宝「天寿国繡帳(てんじゅこくしゅうちょう)」。聖徳太子が往生した世界「天寿国」が描かれた刺繍で、聖徳太子の妻・橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)が作ったものです。
鎌倉時代に模造が作られ、江戸時代に原本と模造の断片が貼り合わされて今の姿に。色鮮やかな部分は飛鳥時代のものだそう。「天寿国繡帳」の展示は2月21日まで。お見逃しなく。
聖徳太子の母、穴穂部間人皇后の肖像「間人皇后像(はしひとこうごうぞう)」。
天寿国繡帳を再発見した信如(1211年~?)の肖像と言われる「伝信如比丘尼像(でんしんにょびくにぞう)」。
16歳の聖徳太子が描かれている「聖徳太子孝養像(きょうようぞう)」。
重要文化財「文殊菩薩立像(もんじゅぼさつりゅうぞう)」は、紙製の仏像。像の芯は、経巻。その上に紙を貼り重ねて作られています。
ヒノキ材に寺号「中宮寺」と書かれた扁額。かろうじて“中”の字が判読できます。
門跡寺院としての中宮寺。江戸時代には、皇室ゆかりの華やかな品が並びます。中宮寺の表御殿上段の間の豪華な一室は、部屋全体に金箔地の豪華絢爛な「花鳥散図襖(かちょうちらしずふすま)」が。尾が長く、色鮮やかに描かれた鳥は空想で描かれている一方、草花は写実的に描かれている点が印象的。
菩薩半跏思惟像のルーツをたどる
どの角度から見ても美しく、凛とした姿が印象的な「菩薩半跏思惟像」。ガンダーラ、中国、朝鮮半島などアジア各地へ視野を広げ、「菩薩半跏思惟像」のその造形美のルーツをたどります。
四角い顔立ちや着衣の規則正しいプリーツは、この頃の中国の仏像の特徴。飛鳥時代を代表する“止利様式”の日本の仏像彫刻も大きく影響を受けています。
国内の半跏思惟像の中で唯一“弥勒”の銘を持つ「弥勒菩薩半跏像」。
台座が如来の座、須弥座であることが珍しい「菩薩半跏像」。痩せ型の姿にも注目。
最後は、九州初公開となる「菩薩半跏思惟像」。360度全方位から鑑賞できます。点ではなく、面でのライティングを施すことで、像へ反射する表情を演出。今までの空間とは空気が変わり、幻想的な空間になっています。
像の寸法は、聖徳太子と同じ“尺寸王身(しゃくすんおうしん)”とされる法隆寺の「釈迦三尊像」と近いため、聖徳太子と関連があるといわれています。
同館の小泉惠英学芸部長によると、右肩上部にある傷は、一番美しい腕の角度を探して修正されたのではとのこと。正面はもちろん、横顔や後ろ姿など、隙がない美しさを求めて作られた「菩薩半跏思惟像」。360度全方位からじっくりと、自分のお気に入りの角度を探して鑑賞するのも良いかもしれません。
会場限定グッズも登場
「菩薩半跏思惟像」にうっとりした後は、併設のグッズ売り場へ。展覧会限定のオリジナルをはじめ、関連グッズが一堂に集結しています。
芸能界きっての仏像通として知られる、みうらじゅんさんのイラストTシャツも本展覧会限定で登場!
特別展「奈良 中宮寺の国宝」は3月21日までです。どうぞお見逃しなく。
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2024/10/31(木) 〜 2024/11/25(月)
大丸福岡天神店 本館8階催場
2024/09/07(土) 〜 2024/11/24(日)
つなぎ美術館
2024/10/26(土) 〜 2024/12/01(日)
九州芸文館