日中文化交流協定締結40周年記念
特別展「三国志」
2019/10/01(火) 〜 2020/01/05(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
2019/11/28 |
来年1月5日(日)まで、福岡県太宰府市で開催中の特別展「三国志」。小説や漫画、ゲームなどにもなった「三国志」の世界は、時代を超えて多くの人に親しまれてきた。立命館アジア太平洋大(APU、大分県別府市)学長で、ライフネット生命創業者の出口治明さんもファンの一人。歴史好きで知られ、歴史関係の著作も多い出口さんに三国志の魅力、展覧会の見どころなどを聞いた。
展示品の一つで、前漢王朝の栄華を物語る「壺」は西漢(前漢)の皇族、劉勝に与えられたものと考えられている。劉備はその末裔とされるが、本当に血を引いているのかよく分かっていない。曹操や孫権に比べて、劉備は確固とした地盤を持たない。3人の中で一番苦労した、いわば成り上がりの人物である。
ではなぜ人気があるのか。もちろん「三国志演義」が蜀漢を正統としていることも理由の一つだ。ただそれだけではない。まずは、関羽、張飛と義兄弟の契りを結ぶ「桃園の誓い」のような友情の物語が人々を引きつけていること。また、流れ者が集まって頑張るさまは「国盗り物語」のようでもある。さらに諸葛孔明という軍師を「三顧の礼」をもって迎えた。どこか浪花節的なところも人気の要素である。
ただ、実際にやったことを考えると疑問も浮かぶ。関羽が殺された敵討ちとして呉に戦争(夷陵の戦い)を仕掛けた。孔明がいさめたとされるが、言うことを聞かずに負けてしまった。
晩年は「(子どもの)劉禅に能力がなかったら、国を治めてくれ」と孔明に言い残す。その言葉どおり劉禅の出来は良くなかった。魏に敗れて捕虜になった時、司馬昭から「蜀が懐かしいか」と問われた劉禅は「ここが楽しいから思い出さない」と答え、周囲をあきれさせた逸話も残る。この子どもを見ていると親の劉備もそんなに有能ではなかったのではと思ってしまう。
ちなみに義兄弟の契りを結んだ3人の中で現在の中国で1番人気があるのは関羽だ。出身地の山西省が塩の商いが盛んだったので商売の神様に結びつけられたのだろう。中国ではいたるところに関帝廟があり、横浜の中華街にもある。=11月14日西日本新聞朝刊に掲載=
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