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動くアートのエンタメ映画『スクランブル』 クラシックカーのカーチェイスに興奮!

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大迫章代
2017/09/22
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アート情報サイトでいきなり映画、しかもカー・アクション?と不思議に思われるかもしれないが、この映画、カー・アクションはカー・アクションでも、出てくる名車が芸術品級。1台数十億円以上というとんでもない価格で取引されることもある超高級クラシックカーのド派手なカーチェイスが楽しめる贅沢すぎるアクション映画なのだ。

映画『スクランブル』は、『96時間』『ワイルド・スピード』シリーズの製作陣が手掛けるクライム・エンターテインメント。高級クラシックカー専門の強盗を生業にしているフォスター兄弟(性格も正反対の異母兄弟)が、4100万ドル(日本円で約45億円)で落札された世界にたった2台のクラシックカー、1973年型ブガッティを、落札者への搬送途中に大胆な手口で奪ったことから、さらに高度な危険な強盗計画に挑まざるをえなくなるというストーリー。落札者は残忍なマフィアのボスで、彼は兄弟の命が助かる唯一の条件として、敵対するマフィアが所有する1962年型フェラーリ250 GTOを、1週間以内で盗むよう命じるのだ。失敗すれば、命がないフォスター兄弟―クールで頭脳明晰な兄アンドリューと、無鉄砲で生意気だがメカニックの腕は超一級の弟ギャレットは、一流のハッカーであるアンドリューの恋人、指名手配中の天才美人スリなどを加えて、寄せ集めの強盗団チームを作り、3800万ドル(日本円で約42億円)のフェラーリ強奪計画を立てる…。

 

ひと目でその車の伝説を語ることができる車への膨大知識と、抜きんでたドライビングテクニックを持つイケメン兄弟。

 

本格的なアクション・シーンとともに、軽妙なタッチで展開する映画は、二転三転、最後の最後までひねりが効いていてそれだけでも十分楽しめるのだが、何より目を奪われるのが次々と登場する、めくるめくクラシックカーたち。その姿は、ため息がでるほど美しい。

 

製作を手掛けるのは、「クラシックカーを盗むというアイデア」が気に入ったというピエール・モレル。『96時間』(08年)の監督、『トランスポーター』(02年)、『TAXi(4)』の撮影も手掛けた人だ。確かに『ワイルド・スピード』などハリウッドにカー・アクション映画は数あれど、車をツールではなく、芸術的に価値のある宝物として描く作品は、おそらくこれが初めて。世界中で高騰するクラシックカー人気にいち早く注目した斬新な映画なのだ。当然、名車たちを映し出す映像はゴージャスかつセクシーで、私のように車に全く詳しくない人間でも、美術品の鑑賞感覚で見入ってしまう。

ブガッティを競り落としたモリエールのガレージには、フォード・ムスタング
をはじめとする目の醒めるようなカー・コレクションがずらり。

 

一方、モリエールのライバル、クレンプのガレージは赤いフェラーリで埋め尽くされていて圧巻。


ちなみに冒頭に出てくるブガッティはラルフ・ローレンの博物館に所蔵されている本物から、修復のために使われた実際の鋳型を借りてレプリカを2台制作し、運転に耐えられるようにエンジンはローバー製を搭載するなど現代仕様にされているそう。またフェラーリ250 GTOは、当時のエンジンや多くの本物同様の部品を使ったリクリエーションモデルだ。それ以外はすべて、南仏の個人のコレクターが所蔵している実物を借りているそうで、クレンプのガレージにあるフェラーリのうち12台は、なんと45台のフェラーリを所蔵しているというオーナーから借りたのだとか。そんな人、本当にいるんだ…。

 

クラシックカーはもはや、4つのタイヤがついた美術品で投資の対象で、歴史と文明の証言者でもある。プロデューサー、モレル氏の言うとおり、電気自動車が主流になり、車と言う存在の意味そのものが変わろうとしている今、歴史的な芸術品としてのクラシックカーが勢ぞろいする本作は実にタイムリーで、アーカイブ的な価値も高い。

 

さらに、そんなアートな高級クラシックカーが、フランス・マルセイユを舞台にスリリングのカーチェイスを繰り広げるのだから、これを映画ならではの楽しみといわず何と言おう。迫力あるカー・シーン実現のため、最大で10台のカメラを同時にまわし、アイパワーカメラというハイスピードに耐えうるカメラをヘリコプターやトラックに装着し、ドローンでの撮影も行なったそう。

南仏の絶景海岸線を優美に疾走するクラシックカーたちの姿は壮観。
でも、芸術品に傷でもついたら大ごと~と内心ひやひやもする。

 

映画に登場する麗しきクラシックカーを一部ご紹介。

Bugatti
Type 57SC Atlantic(1973)
世界で最も美しい車のひとつとも評されるフランスの名車「クーペ・アトランティーク」。わずか数台しか生産されず、その全てがいまも大切に保管されている。

 

Ferrari
250 GTO(1962)
フェラーリが開発したGTレーシングカー。39台が生産され、その全てが現存。50億円を超える価格で取引されることもある。

 

Austin-Healey
100-6(1958-59)
1950年代に英国で生産されていたスポーツカー。作中に登場する車両は、1958年から1959年にかけて生産されたBN6。ボンネットに設けられたエアスクープや、固定式のフロントウィンドウが特徴。

 

Aston Martin
V8 Volante(1972-89)
アストンマーティンが1972年から1989年までの長きにわたって生産したグランドツアラー。子牛5頭分のコノリーレザーが使われた豪華なインテリアをもつ、贅沢な車。

 

Jaguar E-Type
Series1 4.2L(1966)
1961年のジュネーヴ・ショーでデビュー。ボディラインに溶け込むようなヘッドライトのデザインは極めて美しく、コレクターズアイテムとして人気が高い。

 

止まっていても、走っていてもこれらの美しいクラシックカーの姿を堪能しながら、盗みのアーティスト、フォスター兄弟の大胆不敵な計画に驚く。この秋、映画館でひと味違うエンターテインメントなアート鑑賞を楽しんでみませんか?

 

映画『スクランブル』
製作:ピエール・モレル 監督:アントニオ・ネグレ 脚本:マイケル・ブラント、デレク・ハース 撮影:ローラン・バレ
出演:スコット・イーストウッド、フレディ・ソープ、アナ・デ・アルマス、ガイア・ワイス
9月22日(金)より全国ロードショー
公式HP→http://gaga.ne.jp/scramble/

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