ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者
2023/04/08(土) 〜 2023/06/04(日)
09:30 〜 17:30
福岡市美術館
2023/05/26 |
ここに描かれた少女は、ミュシャの友人で建築家のヤロスラフ・ヨゼフ・ポリーフカの娘エリシュカ(当時16歳)です。ポリーフカの依頼で制作されますが、ミュシャは自ら額も選んで一家に贈りました。エリシュカは晩年、この作品をミュシャの祖国へ戻し、世界中の芸術を愛する人々が見る機会を得るよう望んだといいます。
この作品は1932年にプラハで制作されたもので、ミュシャ最晩年の作品の一つです。写実的な表現によって明確に姿形が描写されつつも、淡い色彩によって靄(もや)の中から浮かび上がるその様は幻想性を帯び、さらに華やかな民族衣装が装飾的な印象を与えます。
≪スラヴ叙事詩≫をはじめとしたミュシャの晩年の油彩画群は、アールヌーボーを代表するポスターなどのデザインと比べ、一見すると全く異なっています。それでも、写実的な人物描写と衣装や文様による装飾性の融合という共通性がみられ、特にこの作品は、多方面で才能を発揮したミュシャ芸術の最終形を示す作品の一つといえます。 (ひろしま美術館学芸部長・古谷可由)
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福岡市中央区の市美術館で「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」が6月4日まで開催中。
=(5月26日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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