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最後の「おいでよ!絵本ミュージアム」 絵本の力、いつまでも 読む楽しみ 語る喜び 親子で共有 福岡アジア美術館で開催中【コラム】

2023/08/04 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 親子で絵本に親しむ企画展「NTT西日本スペシャル おいでよ!絵本ミュージアム2023FINAL」(西日本新聞社など主催)が、福岡市博多区の福岡アジア美術館で開かれています。今回で17回目となる夏休みの恒例行事ですが、タイトルにある通り、これが最後の開催。だけど会場は感傷的な雰囲気はありません。例年のように新しい出合いを求め、絵本に手を伸ばす家族連れの明るい笑顔でいっぱいです。 (文・塩田芳久、写真・石田禎裕) 

半世紀前に出版された「おしいれのぼうけん」だが、今でも子どもたちの心を捉えて離さない

 最終回のテーマは「こどもの力」です。計約千点の絵本や原画との出合いが、子どもたちの未来を開く扉となるでしょう。心躍る本、感情を刺激される本、想像力をかき立てられる本。みんな「力」のもとです。

会場に入ると「オズの魔法使い」の世界がお出迎え。わくわくする絵本の世界へようこそ!

 かつて会場を彩った名作の数々も、特設コーナーでみんなを喜ばせてくれます。エントランスの「オズの魔法使い」コーナーは、登場人物や作品の舞台が立体的に表現され、物語の世界に入っていくわくわく感が満ちています。「そらまめくんのあたらしいベッド」では、そらまめくんのベッドが再現され、ふわふわのクッションの上で本が読めます。「おしいれのぼうけん」では、押し入れみたいな特製展示物に入ってつかの間の冒険が楽しめます。

「オズの魔法使い」の主人公、ドロシーの家をイメージした空間では、
親子そろってたくさんの本と巡り合える

 1回目の絵本ミュージアムの開催は、16年前の2007年です。もしかすると、1回目に会場を訪れた小学生がお父さん、お母さんとなり、子どもと一緒に絵本との楽しい時間を過ごしているかもしれません。子どもに読んであげている本は、16年前にお父さん、お母さんが選んで読んでくれたものかもしれません。

みんな大好き、うさこちゃん(ミッフィー)。
出版社の福音館書店が刊行する50作品のうち約30作品が読める

 絵本を通して親と子が共有する時間は貴重なものです。テレビアニメやゲームという選択もあるでしょう。だけど紙の手触りを感じ、親の肉声がストーリーを語り、ページをめくるたびに感想を交換し合えるのは、絵本にしかない大きな魅力です。

絵本作家のいわいとしおさんが制作したメディアアートは、
ピアノを奏でるとスクリーンに絵を描き出す装置だ

 絵本ミュージアムとは今回でお別れですが、来年は別のイベントとしての衣替えが検討されているそうです。「こどもの力」を引き出す「絵本の力」がぎっしり詰まった、新しい展覧会になってほしいと願っています。

=(8月4日付西日本新聞朝刊に掲載)=

NTT西日本スペシャル おいでよ!絵本ミュージアム2023FINAL 
27日まで。入場料は一般1200円、高大生1000円、小中生600円。未就学児は無料。西日本新聞イベントサービス=092(711)5491。

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