谷川俊太郎 絵本★百貨展
2024/04/27(土) 〜 2024/06/16(日)
09:30 〜 18:00
福岡アジア美術館
2024/05/19 |
詩人の谷川俊太郎さん(92)が詩や文章を手がけた絵本の魅力を紹介する展覧会「谷川俊太郎 絵本★百貨展」(西日本新聞社など主催)が、福岡市博多区の福岡アジア美術館で開かれている。建築家やデザイナーなどのクリエーターが映像やインスタレーション、音を駆使して、約20冊の絵本の世界を表現。「おもしろい」を追求した多彩な仕掛けで、谷川ワールドに没入できる。
(文・鶴智雄、写真・石田禎裕)
「かっぱかっぱらった かっぱらっぱかっぱらった」。けんけんぱのリズムで、床に並んだ円の中のフレーズを口ずさみながら、ピョン、ピョン、ピョン―。
「言葉と遊んでいるみたい。ほんっと、楽しいっ」。「ことばあそびうた」のインスタレーションに夢中になった諸江風音さん(8)=福岡県古賀市=の声が弾む。
会場は、異世界に迷い込んだようなワクワク感やドキドキ感にあふれている。
「ぼふっ」「ぶー」という、ちょっと恥ずかしい音が響くのは、「おならうた」をモチーフにした「おならドーム」。中には絵本の原画が並び、作中に登場する「いもくって ぶ」「すかして へ」といった一節を思い出して、思わず噴き出してしまいそう。
「あな」を紹介した作品では、丸や四角の大小の穴が開いた大型ベンチを設置。座って一休みしたり、穴に入ったり、指を差し込んだりと、思い思いの使い方ができる。谷川さんの朗読を聴きながら「もこ もこもこ」のカラフルな映像を視聴できるコーナーや、中に入って遊べる巨大なコップもあり、“映えスポット”としても楽しめる。
各コーナーでは、モチーフとなった絵本が読めるので、事前に内容を知らなくても大丈夫。本展を企画した林綾野さん(48)は「体や耳、目など五感を使って、谷川さんの世界観や言葉の持つ無限の可能性を『おもしろい』と感じてもらえれば」と話す。
「百貨展」のタイトル通り、言葉遊びや戦争と平和、死生観など、絵本のテーマは幅広い。夫と訪れた女性(76)=福岡市早良区=は「久々に谷川作品に触れて、童心に返ったり、生きることの大切さを再認識したり…。明日からまた頑張ろうと思える活力と希望を頂きました」。
誰もが笑顔になって、楽しくて、元気になれる「おもしろい」展覧会だ。
たにかわ・しゅんたろう 1931年、東京都生まれ。52年に詩集「二十億光年の孤独」でデビューし、詩作や脚本、エッセー、絵本など幅広い分野で活躍中。絵本「スイミー」の翻訳や日本翻訳文化賞を受賞した「マザー・グースのうた」などでも知られる。絵本には60年代から携わり、これまでに約200冊を制作している。
■谷川俊太郎 絵本★百貨展
6月16日まで、福岡アジア美術館。観覧料は一般1600円、高大生1200円、小中生700円、未就学児無料。水曜休館。西日本新聞イベントサービス=092(711)5491(平日午前9時半~午後5時半)。
=(5月18日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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