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「玉」通じ古代の実態に迫る 九博で特集展示【コラム】

2019/01/25 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

勾玉(まがたま)や管玉といった「玉」に古代の人々は何を求めたのか。弥生、古墳、飛鳥時代と日本人の心を捉えた宝石を通じ社会の実像に迫る特集展示が、九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開かれている。福岡県や佐賀県など全国14県でつくる「古代歴史文化協議会」の共同研究の成果を披露する企画。
多彩な玉飾りや作り方などを紹介した70件8,146点のうち、印象的なのはヒスイや碧玉などを玉に仕上げる加工地の在り方だ。

左が曽我遺跡で出土した玉作り関連資料。右は島根県出土の資料


加工は4世紀までは、石川県や島根県など素材産地で作業された。5世紀、倭の五王が中国王朝へ使いを送り巨大古墳が相次いで近畿地方に造られるなどヤマトの力が強まると、ヤマト王権の中枢域にある曽我遺跡(奈良県)に集約される。九州国立博物館の小嶋篤研究員によると、この時期は最も価値が高いヒスイが国内で減り、代わりに朝鮮半島・新羅で増える。「ヤマト王権は玉を一括管理して交易の輸出品としても使ったのでないか」という仮説も出ているという。
6世紀になると玉生産は出雲地方に限られるようになる。5世紀と6世紀の間で王権交代を指摘する声もあり、この変化は興味深い。

島根県の上野1号墳から出土した玉飾り類


展示品からは、男女で玉の巻き方が違っていた可能性や、時代が下がるに従って玉の配色の規則性が崩れアクセサリーとしての側面が強くなっていったと考えられることなどもうかがえる。勾玉や管玉だけでなく原石や加工具なども含めた圧巻の品数を通じて、玉と人との付き合い方を想像するのも一興だろう。(古賀英毅)=1月18日 西日本新聞朝刊に掲載=

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