FBS開局50周年記念
ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~
2019/03/15(金) 〜 2019/06/23(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
2019/04/09 |
「となりのトトロ」のサツキ、「千と千尋の神隠し」の千尋、風の谷のナウシカ-。ジブリ作品に登場する女性主人公には共通点がある。みんな「けなげでいちず」なのだ。
サツキは病気の母に代わって父親と妹の世話をし、千尋は豚に変わった両親を助けるために異界の風呂屋で働く。愚痴や泣き言は言わず、いつも前向きで健康的だ。そんな女性像は一体どこから生まれたのか。
「あれは宮崎駿監督が抱く理想の女性像。モデルは母親だと思います」。スタジオジブリの取締役制作業務部長、野中晋輔さんがそう謎解きをしてくれた。母親は、次男の宮崎監督を含めて4人兄弟を育てた。病気を患っていたが、明るくしっかりした女性だったという。
宮崎監督は1941年生まれ。終戦前後の母親の姿が投影されているのなら、女性主人公たちがけなげに頑張るのも納得できる。その母親に最も近いのは「天空の城ラピュタ」の豪快な空の女海賊(空賊)ドーラだという。ドーラは女手一つで息子3人を育てた設定になっている。
登場人物にはもう一つ共通点がある。連続殺人犯やテロリストのような絶対的な悪人がいないのだ。その点について、宮崎監督は解剖学者の養老孟司さんとの対談でこう語っている。
「殺しても惜しくない人間を映画に用意しておけば、いくらでも殺せるわけです。それをやったらおしまいだと思うから、なるべくいい部分で人間たちを出そうと自分に課したんです」
宮崎作品の悪人には、どこか人間的な魅力がある。それは、悪人をどんどん殺して、見る人を「人間嫌い」にしたくないから。けなげな主人公と憎めない悪人たち。それが「単純に楽しい、元気になる映画」(野中さん)を作る秘訣(ひけつ)の一つなのだ。=3月26日 西日本新聞朝刊に掲載=
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