町の小さなお家屋さん　宮本華子個展

宮本華子は瓦解した「家」を拾い集め、繰り返し構築を試みる。何度も、何度も。父としての隔絶、祖父母との穏やかな暮らしの記憶と感情を、オブジェや映像、絵画などのインスタレーション作品として発表してきた。日常の居場所であり、家族の象徴でもあり、その繋がりを内包する「家」。どこまでもまとわりつく「家」を素材に、個人的体験から発し、近年は他者を介すことで「家」を基点にした人々との関係性や社会構造を探る方向へと展開している。３日限りの本展は妙だ。「家」を提案し、ともに考え、販売するという。これは不動産屋か。美術か。〈美術〉とは一体？　
問いの続きは会場で。

原田真紀（本展キュレーター/9-plans）
 

宮本華子
1987年熊本出身2012年女子美術大学大学院美術研究科修士課程美術専攻洋画　研究領域修了。身近でありながら、相容れない他社である「家族」と向き合うために制作する。近年は、「家」の要素を素材としたインスタレーション作成に加えて、熊本の地元・荒尾にてマイクロレジデンス「AIR motomoto」を開き、国内外のアーティストの招聘も行う。レジデンス運用期間は熊本で生活している。
主な展覧会に、「Was ich dir immer schon sage wollte, aber nur dir nicht sagen kann」Bethanien room139（ベルリン)、2020年個展「私は、あなたにだけ言えない。」つなぎ美術館（熊本）、2024年個展「在る家」大川市清力美術館（福岡）、2025年「HOME LIKE」第一生命ギャラリー（東京）、2020年  VOCA展2020上野の森美術館（東京）、2021年「段々降りてゆく」熊本市現代美術館（熊本）、2025年VOCA展 2025上野の森美術館（東京）

「プロジェクト タイガー88」スタートにあたって
インディペンデントなアート企画オフィス「ART BASE 88」は2025年7月から新たに「プロジェクトタイガー88」をスタートします。ART BASE 88はアートに希望を持って活動しています。いまこの時代にこの場所で、ひとりの人間が感じる違和感や夢を、具体的に表して伝えていこうとする、その行為がコンテンポラリーなアートだと考えています。新しいプロジェクトの「タイガー/虎」という言葉に込めた思いは「挑戦」です。
初回はART BASE 88の拠点である「アートハウス88」を使って、アーティスト宮本華子が原田真紀によるキュレーションのもと個展を行います。新プロジェクトのスタートを信頼するアーティストとキュレーターとともに開催できることを幸せに思います。短い期間ですが、お運びくださいますようお願いします。

ART BASE 88　宮本初音