松浦史料博物館開館70周年記念・九州国立博物館開館20周年記念特別展
平戸モノ語り ─松浦静山と熈の情熱
2026/01/20(火) 〜 2026/03/15(日)
九州国立博物館
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アルトネ編集部 2026/01/21 |
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アート、伝統文化、プログラミング‥‥福岡のガスや不動産等、インフラを支える一企業でありながら、様々な文化活動を活発に行っている明治産業。2025年秋、新たに一般向けのアーティストの思考法に学ぶワークショップ体験会「CAW LAB:Collaborative Art Workshop LAB」をスタートし、演劇という手法を通じ社会的な実践を拡げています。
今、なぜ演劇ワークショップなのか――同社担当の菅本千尋さんにその想いを伺いました。
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――「CAW LAB:Collaborative Art Workshop LAB」の概要と、この取り組みがどのようにして生まれたのかお教えください。

菅本:
CAW LABは、一般の方に向けた演劇を中心としたパフォーミングアーツのワークショップの無料体験会となります。これまで主に内定者向けプログラムとして様々なワークショップを展開してきてつくづく思うことは、ワークショップはかなり重要なコミュニケーションの場となりうるということです。
それを社会にも拡げていけたらいいのではと思い、数あるワークショップの中でも、関係性の構築という点で特に効果を発揮する、演劇やダンスに特化したワークショップをスタートさせることになりました。
――菅本さんご自身が学生時代より演劇の活動をされており、現在も「演劇空間ロッカクナット」のメンバーであったり、その他、舞台照明という役割で様々な劇団を裏から支えたり、様々な活動を続けていらっしゃいますよね。ご自身が情熱を傾け続けられていることだと思いますが、「演劇」という分野の魅力やその可能性についてお聞かせください。
菅本:
演劇というものが、世代やバックボーンの違いを越えて、一緒になってつくり上げていくという芸術様式であるということ。美術や音楽が主に成果物に集中していく芸術であるのに対し、演劇は常に相手の存在があり、人と人が集まってつくっていくワークの連続という特性があります。そういった演劇の特性は、劇場空間のみならず、社会においても‟関係性の構築“という点でとても効果的ですし、様々な場面で活用できるものだと思っています。
そして、福岡における演劇関係者全体の在り方にも関係する話になるのですが、アーティストの価値や存在意義が劇場の中だけに限られてしまうと、生活はとても厳しいものになってしまうし、何よりもったいないのではないかという想いを抱いていました。
作家として鍛えてきた能力には、会社員にとっても身になるティップスが沢山ある。
演劇とビジネス(会社)という場の回路を開き循環させることは、両者にとってものすごくメリットがあることじゃないかという想いが根底にあって、まずは社内向けのワークショップをやってみたいと発案し実際にやってみて、「これはいけるのでは」と実感したということがあります。
――たしかに演劇はコミュニケーションという要素が強いのかもしれませんね。ただ、ワークショップという非常に限られた時間で、その場に居る人と関係性を作ったり、場合によっては成果の発表も行っていく――経験したことがない私からすると、そんなことができるのかという気もするのですが、コツや方法論のようなものがあるのでしょうか。
菅本:
いきなり主題に入ったり成果物を求めるのではなく、「ほぐす」ということを大切にしています。ワークショップのはじめに普段の自分から少し離れてもらう、そして、この場では何を言ってもよくて、むしろアイディアを出すことによって進んでいくんだということを体感してもらえるような、小さな仕掛けを数多く仕込んでもいます。
そうして心も身体もほぐしながら、いわば、小さな練習を重ねてゆくことで、出来ないと思っていたことでも時間内に出来てしまう。やったことがなくて出来ないと思っていたことでも、案外出来る、結構楽しかったなという実感が、成功体験となり、チャレンジ精神や”まあ大丈夫だろう”というポジティブな精神を育んでいくと思っています。
――チームワークだけでなく、個々人の在り方や心構えにまで作用するのですね。「チャレンジ精神」は貴社の社風でもあると伺っています。
菅本:
SNSひとつで炎上してしまう今の時代は、失敗することが難しい時代でもあると思います。その一方で、「チャレンジ精神」を持った人と一緒になにかをやっていきたい。
人間、誰でも落ち込むし、失敗もするし、怒られると思うのですが、ポキっと折れるのではなくて、ちょっとぐにょんとした、しなやかな心でいられた方が、仕事も、さらに言えば生きていく上でも、健やかにいられるのではないかと思っています。演劇のワークショップはそういったレジリエンスを高めることにも作用しうると実感しています。
――ワークショップの内容やこれまでのレポートを拝見すると、一つひとつの内容を丁寧に作り込んでいる印象を受けます。企画をする上で大切にしていること、気を付けていること等はありますか。
菅本:
講師となるアーティストの方にとっても、単なる雇われ仕事になるのではなく、次の作品を考えるためであったり、‟自分がやってきたことでこんなことができるんだ“と今後の活動の可能性を知るきっかけになるようなワークショップになればいいなと、毎回、アーティストと相談を重ねながらオーダーメイドで企画を作っています。
同時に、何を目指すか、誰のどのニーズに応答するようなワークショップにするのかということはよく考えていますね。明治産業の企業理念に「あなただけのプラスをご提供します」というものがあるのですが、それぞれのプロジェクトは多様でバラバラに見えるような展開であっても、個々のニーズをたどり、世の中にこういうことがあったらいいよねということを、一つひとつ実践に移していっています。
――今度のやりたいことやビジョンがありましたら教えてください。
菅本:
具体的に、あのアーティストとこんなことがやりたいということはありますし、これまでにこの会社でやってきたことを学会という場で発表したいという想いもあります。
一個人の夢としては、福岡のまちにある中小企業が、年に1回演劇ワークショップをするということを実現できたらと思っています。
少子高齢化が進む中、世代間ギャップや、それに付随するコミュニケーションの問題、人材の確保、ハラスメントが怖くて何を言ったらいいのかわからない‥‥等々、これからの時代、地方で中小企業で働いていて、直面する問題やどうにかしなくてはいけないものに対して、演劇ワークショップが出来ることの可能性はとても大きなものがあると思っています。

仕事とはちょっと違う文脈に置き換えることで見えてくる個々人のポテンシャルが、リスペクトにつながることってありますよね。そういったある種の異文化体験を経験することが、コミュニティを継続して発展させていくためにはとても重要な寄り道だと思っていて、そういったことを広めていくことができたら素晴らしいなと思っています。
劇場に行ったことがなくて演劇というものにも興味もなかったような方が「あのワークショップのことでしょ」というような――そんな状況を夢みていますし、そんなまちに私も住みたいなと思っています。
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演劇というジャンルやワークショップという手法の可能性を信じながら、実践を通じ、より大きな理想とする社会、そのビジョンを伝えてくださる姿が印象的でした。
自分の「好き」を拠点にしながらその所以を真摯に問い、多くの人と分かち合い、エネルギーとして伝播していく明治産業の菅本千尋さんの取り組み。
‟今の自分、ほぐれている?“という気持ちになったそこのあなた、演劇ワークショップを体験してみることで見えてくる何かがあるのかもしれません。
photo by 橘ちひろ
CAW LAB:Collaborative Art Workshop LAB
日程&講師 :
2026年1⽉21⽇(⽔)
福岡に住む人のための地方創生ワークショップ
講師:バストリオ(パフォーマンス作品を制作するコレクティブ)
2026年2⽉ 7⽇(⼟)
次世代リーダーのためのリフレーミングワークショップ
講師:⼤島匡史朗(振付家、ダンサー、講師)
2026年3⽉13⽇(⾦)
起業家のためのチームビルディングワークショップ
講師:有⾨正太郎(俳優・演出家・劇作家)
会場:Artist Cafe Fukuoka、Fukuoka Growth Next
※回によって異なります
料金:無料
※各回の日時・会場、講師、申込方法・抽選等の詳細は公式HPをご確認ください。
公式HPはこちら
2026/01/20(火) 〜 2026/03/15(日)
九州国立博物館
2025/12/13(土) 〜 2026/03/08(日)
福岡市美術館
2026/01/06(火) 〜 2026/02/04(水)
山口県立美術館
2026/02/07(土)
福岡市美術館 2階 近現代美術室B 企画展「浦川大志個展 スプリット・アイランド」展示室内
2025/12/06(土) 〜 2026/02/08(日)
熊本県立美術館