
第2期コレクション展
たのしむ美術館
2025/07/13(日) 〜 2025/10/07(火)
宮崎県立美術館
アルトネ編集部 2025/10/07 |
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平安時代末期、繰り返される内乱や災害によって世は乱れ、人々は疲弊していました。そのような中、浄土宗の開祖・法然(1133~1212)は、どんなに貧しくても、ただひたすらに阿弥陀仏を信じて「南無阿弥陀仏」をとなえれば、誰もが極楽浄土に往生できる、と説きました。その教えは貴族から庶民に至るまで多くの人々に支持され、法然没後も弟子たちによって守り継がれ、江戸時代には徳川将軍家の帰依を受けて大いに発展しました。
令和6年(2024)、浄土宗は開宗850年を迎えました。これを機に、万人の救済を目指し波乱万丈の人生を送った法然の生き方や教え、浄土宗の歴史を国宝6件、重要文化財45件を含む計113件の貴重な名宝によってたどる特別展「法然と極楽浄土」が10月7日(火)から九州国立博物館で始まりました。
会場には法然と浄土宗ゆかりの宝物や史料などが展示されています。開幕に先立って6日(月)に開かれた記者会見で、九州国立博物館の富田淳館長は「数々の名宝をお出しいただき、美術的にも素晴らしい展覧会であるが、希望と救いの展覧会でもある」と述べられました。
また、浄土宗の川中光教宗務総長は「全国には多くの浄土宗の寺院があるが、その至宝を九州に集めました」と仰いました。また九州にある浄土宗大本山善導寺の光岡素生執事長は「この展覧会をきっかけに全国から本山にお見えになっている。九州に総本山があることの意義をこの機会に伝えて参りたい」と語られておりました。
会場内は写真撮影ができませんが、特別に許可をいただきましたので会場の様子を少しだけ紹介いたします。
第1章は「法然とその時代」です。平安末期の混乱の中、法然は「南無阿弥陀仏」と称える専修念仏を広め、民衆の救済を目指しました。既存仏教界の反発で讃岐に配流されるも、帰京後に80歳で往生しました。本章は浄土宗の始まりを示す章となります。
まず会場でお出迎えいただくのが浄土宗の開祖である法然上人の坐像です。
目を引くのが国宝絵巻である「法然上人絵伝」。当時の様子が生き生きと描かれた作品です。
第2章は「阿弥陀仏の世界」です。法然は阿弥陀如来の名号を称える専修念仏を重視し、造像などの善行には否定的でしたが、門弟らの信仰心には理解を示しました。阿弥陀像や絵画は念仏者の心の支えとなり、浄土宗の広がりを今に伝えています。
まず目を引くのは、さほど大きな仏さまではありませんが少し後ろを振り返られたお姿が美しい「見返り阿弥陀」の名で知られる阿弥陀如来立像です。
また、アフロ風の大きな頭部が強い印象に残るのが「五劫思惟阿弥陀如来坐像」。衆生を救うため数百億年にわたり悩み続けたお姿を現した仏様です。
第3章は「法然の弟子たちと法脈」。法然のもとには彼を慕う門弟が集い、浄土宗が開かれました。法然没後、彼らは称名念仏の教えを広めようと、鎮西派は九州を、西山派は京都を拠点にそれぞれ精力的に活動をおこないました。
章の冒頭に展示されているのが「聖光上人坐像」です。聖光上人は筑前国香月庄(現在の北九州市)生まれ。浄土宗を九州の地に広めることに尽力し、浄土宗第二開祖といわれる名僧です。
第3章で、非常に目を引くのが巨大な當麻曼陀羅図(貞享本)。文字が読めない人々にも「極楽浄土はあるのだ」とわかりやすく伝えることができたのではないでしょうか。会期後半の11月11日(火)からは、蓮の糸で織られたという秘仏「綴織當麻曼陀羅図」が公開されます。こちらは九州初公開となります。
第4章は「江戸時代の浄土宗」。聖冏・聖聡らが浄土宗を体系化し全国へ広めていきます。そして、徳川家康の菩提所指定により教団は江戸時代に大きく興隆しました。
こちらの見どころのひとつが香川県・法然寺の仏涅槃群像です。こちらは釈迦の入滅(亡くなること)を悼む姿を描いていますが、釈迦の弟子のほかにも、猿や鶏、カタツムリまで様々な動物も集まっています。こちらのコーナーは写真撮影もOKです。
世界中でも紛争や災害が絶え間なく続くなか、救いをもとめる人々にひたすら念仏をとなえ、極楽はあると伝え続けてきた、法然上人を祖とする浄土宗の歴史を体感できる貴重な展覧会になっています。
展覧会は11月30日まで。お見逃しなく。
九州国立博物館開館20周年記念/放送100年/読売新聞創刊150周年
特別展「法然と極楽浄土」
日時:2025/10/07(火) 〜 2025/11/30(日)
9:30 〜 17:00(毎週金・土曜日は20:00まで夜間開館)
※入館は閉館の30分前まで
会場:九州国立博物館
休館日:毎週月曜日
※ただし10/13・11/3・11/24は開館、10/14・11/4・11/25は休館
料金:一般2,000円、高大生1,200円
※中学生以下無料
公式HPはこちら
九州国立博物館 - 特別展「法然と極楽浄土」
チケットはARTNE TICKETで販売中
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