九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  レポート ›  娘と出かけた「絵本ミュージアム」。名作絵本との再会に感激!【レポート】

娘と出かけた「絵本ミュージアム」。名作絵本との再会に感激!【レポート】

Thumb micro b17bcab1aa
木下貴子
2017/08/17
LINE はてなブックマーク facebook Twitter

小さな子どもを連れて展覧会に行くのは、なかなか根気がいるものである。なにせ子どもは飽きっぽい。興味がなければ、すぐに「出て遊ぼうよ~」など言い出す始末。子どもを連れていくことで展覧会が好きなように見られないのは、アート好きにとっては涙ものだ。その点、福岡アジア美術館で開催中の「NTT西日本スペシャル おいでよ!絵本ミュージアム2017」は心配無用。毎年同展を楽しんでいる我が家の娘(小1)と一緒に、また今年も訪れてみた。

「絵本ミュージアム」は、毎年テーマを変えて開催されている。今年は「いっしょに」をテーマに、ピクニックのように小道を歩きながらいろんな絵本の世界をめぐる会場構成だ。入口のトンネルを子どもと一緒に「わ~」と見まわしながらくぐりぬけると、現れたのは絵本『ピクニック』(作・絵 たちもとみちこ)の部屋。絵本に描かれる動物たちや森の木や花がそのまま現実となったような空間で、まさに絵本の世界に入り込んだよう。これこそが「絵本ミュージアム」の醍醐味だ。

トンネルを抜けるとそこは絵本の国だった……とつぶやきたくなるような入口。
絵本『ピクニック』の空間が目の前に広がる。ここで記念撮影する親子連れも多く見られた。

娘が真っ先に駆け寄ったのが、タッチパネルの仕掛け。小学生ともなるとこういったデジタル系にまず興味を持つようだ。触れると文字やストーリーが浮かび、楽しそうに声を出して読んでいる。とはいえ紙の絵本の力もやはり強い。このあと絵本を手にとって夢中になって読み始める娘であった。

NTTグループの最新テクノロジーを使ったタッチパネルの仕掛け。場面に合わせて音も流れる。
読んでいる絵本と空間が同じなんて。小さな頃のこんな読書経験は、強い印象とし
て残るはず。
小さなお子さんに絵本を読みきかせするお父さんの姿も。こういった微笑ましい光景も「絵本ミュージアム」ならでは。

大人はどうしても順路を気にして展覧会を見てしまいがちだが、その点、子どもは自由。好きなように見て回る。特に今年の会場は、部屋ごとの仕切りが感じられない空間づくりや、絵本のキャラクターをモチーフにした精巧で巨大なオブジェの展示など、スケール感が大きい。そんな中で、娘はあっちに行ってはこっちに戻り、こっちに行ってはあっちに戻り、目についた絵本を読んだり、仕掛けで遊んだり。思うままに楽しんでいる。

絵本シリーズ『がまくんとかえるくん』(作:アーノルド・ローベル、訳:三木卓)の大きなオブジェ。とても完成度が高い!
『がまくんとかえるくん』の部屋ではお手紙を書くコーナーも。書いた手紙は、会場に設置されたポストに投函。
絵本『11ぴきのねこ』(作:馬場のぼる)の部屋は、撮影ポイント。
絵本『すてきな三にんぐみ』(作:トミー・アングラー、訳:今江祥智)
の部屋は影絵のような仕掛けによって、三にんぐみの仲間になれる。
ここにも大きなオブジェが!『すてきな三にんぐみ』に出てくる武器たちだ。

『すてきな三にんぐみ』の部屋を抜けると、広々とした広場が現れる。ここでは、スタンプを使って天井に浮かぶ天の川のデザインをみんなで作ったり、平面の上でデコボコを感じることができる作品があったり。また点字つき絵本もたくさん展示され、色々な感覚を使った体験ができる。広場には様々なジャンルのたくさん絵本も展示されてあり、最後は2人それぞれにじっくり読書タイム。

大きな絵本広場「○△□の森」では、感覚をフル回転。
押したスタンプの模様がそのまま天の川の模様となって現れる、体験型デジタルコンテンツ。

今回、各部屋のモチーフとなったのは、世代を越えて読み続けられているロングセラーの絵本が中心だ。全体を通して筆者が一番印象に残ったのは、「ちいさな森の美術館」という部屋で、ここには名作絵本『いないいないばあ』(文:松谷みよ子、絵:瀬川康男)の原画が展示されていた。この本は、娘が最初にプレゼントされた絵本。当時の思い出がぐるぐると蘇り、涙が出そうになった。

松谷みよこ著の『いないいないばあ』は1967年の初版! 他には絵本作家いわさきちひろの作品などが展示されている。

懐かしい絵本との再会が待っている今年の「絵本ミュージアム」は、かつて子どもだった大人にとってもおすすめしたい。そしてなによりも「静かに鑑賞」する必要がないため、子連れにとってはパラダイス。毎日イベントも開催されているので、夏休みのおでかけスポットとしても最適だ。

会期は8月20日(日)まで。

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini e94aa74136
終了間近

バンクシーって誰?展

2022/12/17(土) 〜 2023/03/26(日)
福岡アジア美術館

Thumb mini 102a894c51
終了間近

色絵と染付
─ 華麗なる装いのうつわ

2023/01/13(金) 〜 2023/03/26(日)
出光美術館(門司)

Thumb mini dc0dd0afdc
終了間近

KKT熊本県民テレビ開局40周年記念
ジブリパークとジブリ展

2023/01/20(金) 〜 2023/03/26(日)
熊本県立美術館

Thumb mini 09efbae035
終了間近

創業200周年記念
フィンレイソン展
―フィンランドの暮らしに愛され続けたテキスタイル—

2023/01/21(土) 〜 2023/03/26(日)
長崎県美術館

Thumb mini be736fffae
終了間近

特別展「山下清東海道五十三次展」

2023/02/25(土) 〜 2023/03/26(日)
行橋市増田美術館

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini 7d9df56f25
ニュース

【ニュース】「絵本ミュージアム」が今年も福岡アジア美術館にやってくる!

Thumb mini 3bf84d1ca6
コラム

絵本の世界を楽しもう!「おいでよ!絵本ミュージアム2017」【コラム】

Thumb mini 1d3eca88f0
レポート

街並みごとの再現展示で臨場感! テーマパークのような「バンクシーって誰?展」福岡展が開幕!

Thumb mini 50260b274a
レポート

大野城心のふるさと館で特別展「よみがえる黄金の宝」 宮地嶽古墳の国宝が一堂に

Thumb mini d72c5d7c6c
レポート

九州国立博物館で特別展「ポンペイ」が開幕! 日本初公開を含む約120点の出土品が一堂に

特集記事をもっと見る