
御大典記念 特別展
よみがえる正倉院宝物
―再現模造にみる天平の技―
2021/04/20(火) 〜 2021/06/13(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
秋吉真由美 2021/04/29 |
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九州国立博物館(福岡県太宰府市)で4月20日、御大典記念 特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」が始まりました。
奈良・東大寺の正倉院に収められている約9,000件にもおよぶ正倉院宝物。聖武天皇ゆかりの品をはじめ、国際色豊かな品々があり、校倉造りの正倉院宝庫で1300年近く、良好な保存状態で管理されてきました。
本展では、宝物の修理なども手がける職人たちが、材料や技法、構造などを忠実に再現した宝物の模造品を中心に全86件を展示しています。
世界で唯一現存する五絃琵琶
明治時代に奈良で開かれた博覧会を機に始まったという模造製作。伝統技術の継承、経年劣化や災害に備えるなどの目的もあります。
正倉院宝庫模型
明治8年/奈良国立博物館蔵
模造 磁鼓(じこ)
昭和62年/宮内庁正倉院事務所蔵
模造 螺鈿槽箜篌(らでんそうのくご)
明治28年/宮内庁正倉院事務所蔵
正倉院宝物の中でも特に優品として知られるのが「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」。平成につくられた模造品は、8年間にわたって完成させました。
平成23年~30年/宮内庁正倉院事務所蔵
平成23年~30年/宮内庁正倉院事務所蔵
模造 紅牙撥鏤撥(こうげばちるのばち)
昭和58年/宮内庁正倉院事務所蔵
五弦琵琶としては、現存する世界唯一の遺品で、細部にまで可憐さが行き届いた装飾に思わずうっとり。明治時代の模造は、構造や内部の状態が不明でしたが、平成22年に九州国立博物館でX線CT撮影による調査により、製作年や製作者を示す銘文が内部に記されていることが分かったそうです。巡回会場のうち、九州国立博物館のみ、平成製作と明治製作の2面がそろいます。
明治31年/東京国立博物館蔵
明治31年/東京国立博物館蔵
模造品ですが、宝物ともちろん同じ材質を用い、つくりも精巧であるため、実際に音を奏でられるそうです。琵琶の全面に使われた夜光貝の螺鈿など、さまざまな部材もともに紹介しています。
同展は巡回展ですが、“螺鈿紫檀五絃琵琶の作り手たち”と題した、職人たちにフォーカスした九州国立博物館会場オリジナルのコーナーを展開。インタビューや道具などを紹介しています。
繊細な職人技が光る逸品たち
名工たちの繊細な技が惜しげもなく施された品々。仏への供物を収めるための箱や香炉、螺鈿箱や刀など、まだまだ職人の腕が光る逸品が並びます。
模造 黒柿蘇芳染金銀山水絵箱(くろがきすおうぞめきんぎんさんすいえのはこ)
昭和7年/東京国立博物館蔵
模造 小唐花文白綾(しょうからはなもんしろのあや)
平成11年/宮内庁正倉院事務所蔵
模造 赤地唐花文錦(あかじからはなもんのにしき)
平成14年/宮内庁正倉院事務所蔵
模造 金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんかざりのからたち)
明治時代/宮内庁正倉院事務所蔵
模造 黄銅合子(おうどうのごうす)
平成16年/宮内庁正倉院事務所蔵
模造 螺鈿箱(らでんのはこ)
昭和51~52・54年/宮内庁正倉院事務所蔵
併設するグッズ売り場には、「螺鈿箱」をモチーフにした缶入りキャンディーや「螺鈿紫檀五絃琵琶」のエコバッグ、ポストカードなど展覧会限定グッズが多数登場しています。
このほか、井上萬二、今泉今右衛門、福島善三、鈴田滋人ら人間国宝を含む、日本工芸会西部支部正会員の作品を購入することもできます。
御大典記念 特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」の開催は6月13日まで。お見逃しなく。
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