ヒグチユウコ展 CIRCUS
2020/12/24(木) 〜 2021/02/07(日)
09:30 〜 17:30
福岡市美術館
2020/12/21 |
総館長ナビで「お宝」拝見!福岡市美術館
福岡市美術館( 中央区大濠公園 )が誇る約1 万6 0 0 0 点のコレクションの中からえりすぐった名品を中山喜一朗総館長のナビゲートと担当学芸員の解説で紹介するシリーズの2 回目は、 九州関連の作家や作品を取り上げる。
地元ゆかりの作品の収集は地方美術館の大きな役割。同美術館は九州・山ロ・沖縄を西日本地域として、 古美術から近現代アートまで地元の財産といえる多彩な作品をコレクションの―つの柱としている。
親しみやすい絵で「博多の仙厓さん」として、時代を経ても変わらぬ人気を集める江戸時代の聖福寺住職、仙厓義梵(ぎぼん)の収蔵作品は200点以上。多くは地元財界人、老舗店主、研究者などのコレクションから寄贈された。 収蔵品は今も増え続けている 。
中山総館長は仙厓研究でも知られる。 愛してやまない仙厓の魅力を「 かわいい絵が多いが、単に癒やされるだけではない。人が生きる上で大切なことを見つけたり、 考えを改めさせられたり、 仙厓とともにありたいという要求を誰もが覚える 」と熱く語る。
近代以降、九州は数々の巨匠を排出した。福岡県久留米市出身の坂本繁二郎もその一人。 20代で訪ねた伊豆大島の光景を切り取った「大島の一部」について、近現代美術担当の正路佐知子学芸員は「初期の代表作。作風を確立する前だが、しつかりした描写力を発揮 」と評する。
戦後の1957年から62年にかけて、福岡を拠点に「反東京」「反既成画壇」を掲げて注目された前衛美術運動「 九州派 」に参加した作家の作品も多く収蔵する。 今年亡くなった菊畑茂久馬の「 ルーレット 」( 46年)は、ニューヨーク近代美術館などを巡回した美術展で国際デビューを飾った際に送った4 点のうちの1 点。 美術展企画者が展示しないまま所蔵していた。
オチオサムの「小宇宙日記」(80年)や田部光子の「Sign Language」(96~2010年)にしても、九州派出身作家の収蔵作品は九州派後のものも目立つ。正路さんは「九州派は各作家にとって出発点。以後の作品にも注目したい」と話す。
九州派とは異質の洗練されたモダニズムで、九州の現代アートを引っ張った福岡県行橋市出身の村上勝の「紅(あか)い羽状」は、四方に広がるオブジェの赤が展示室に映える。
古美術に戻ろう。 一括寄贈コレクションの第1号が東光院仏教美術資料旧福岡藩主黒田家の菩提寺の―つである福岡市博多区の東光院から、薬師如来坐像など国の重要文化財52件を含む86点の寄贈を受けた。専用の東光院仏教美術室は、仏像を3 6 0 度全方位から鑑賞できる。古美術担当の後藤恒主任学芸主事は「造形物として背中がどうなっているかも分かる。制作年代による彫り方の違いが味わえる」と話す。4か月に一度、展示替えをする。
松永コレクションは、長崎県・壱岐の生まれで戦後の電力体制を整えて「 電力の鬼」の異名をとった松永安左エ門が集めた茶道具や仏教美術など重文20件を含む371点。重文「色絵吉野山図茶壺(ちゃつぼ)」は17世紀の野々村仁清作で、緑、黄、赤、青、紫、金、銀と陶器の絵付けで表現できるほぼ全ての色を駆使した華やかな作品だ。後藤さんは「正面から背面にかけて、桜花がつぼみから満開になる時の流れを示しているかのようだ」と推し量る。松永コレクションは2か月ごとに展示替えをする。
九州に縁のある作品について、中山総館長は「ひとくくりにできない豊かな個性を見ていただきたい」と語る。( 文・大西直人、写真·納富猛、古美術を除く作品画像は福岡市美術館提供)
【中山 喜一朗 なかやま・きいちろう】
1954年、大阪市出身。東海大大学院修了。81年、福岡市に学芸員採用。同市美術館、博物館に勤務。2019 年から美術館の館長、20年から現職。専門は日本近世絵画。
【メモ】
休館は月曜と12月28日~1月4日。月曜が祝日・振り替え休日の場合はその後の最初の平日 。コレクション展の観覧は一般 200 円、高大生 150 円、中学生以下無料。特別展「ヒグチュウコ展C I R C U S」は今月 24 日から2021年 2 月7日まで。観覧料は一般 1200 円、高大生 900円、小中生 500円。要事前予約。
福岡市美術館=092(714)6051。
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