
江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
09:30 〜 18:00
福岡アジア美術館
2024/12/23 |
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新潟を拠点とするアイドルグループNegiccoとの仕事は、Tシャツデザインを過去2回ほどやらせてもらいましたが、アルバムジャケットはやったことがありませんでした。昨年2023年、グループ結成20周年記念ミニアルバム『Perfect Sence』で初めてジャケットイラストをオファーされ、ぼくとしても「満を持して」と言う感じで引き受けたのですが、実はこれがなかなかに悩み、難産な仕事になったのです。
23年は1年を通してずっと展示続きで、画集も2冊出して猛烈な忙しさだったということもありますが、そんなのはこちらの事情であって言い訳にはなりません。アイドルで20年、メンバー3人も全員結婚し、出産も経験されています。自らの歩みを振り返り、現地点での存在報告であり、内省的で静かな決意表明のような内容のアルバムにどんなビジュアルを当てたらいいのか。それがなかなか降りて来ませんでした。自分にいつも求められる可愛(かわい)い女の子の絵では決してないな、と言うのは直感的にわかっていました。悩んでいるうちに時間は過ぎ、配信のタイミングには間に合わなかったのです(泣)。
結局年が変わって24年の春のある日、新宿の南口の歩道で信号待ちをしていると、うつむき加減のぼくの目線に2人の女の子の足元が入り込んでいました。雨上がりの歩道に彼女たちの影が映って。「あ、これだ」と。その時とっさにiphoneで撮った写真にはもちろん他の大勢の通行人の足元も映っていましたが、雨上がりの舗道に立つ3人の足元を描こうと。あれほど悩んでいた絵がその場で決まったのです。絵を描いているとそういう瞬間がたまにあるのです。そこからは早かった。雨に濡(ぬ)れた舗道と、そこに映る影は全てパソコン上でPhotoshopで描きました。3人の足元はどれが誰なのか。デビュー当時の彼女たちなのか。今の彼女たちなのか。それは見る人の捉え方に任せようと思いました。
この絵を使ったアルバムは、配信から遅れること1年、24年7月にフィジカル盤CDとして発売されました。
(えぐち・ひさし、熊本県水俣市出身)
◇◇
CDジャケットのイラストを含む作品が展示されている「江口寿史展」は、福岡アジア美術館(福岡市博多区)で来年1月12日まで。観覧料は一般1500円など。水曜と12月26日~1月1日は休館。西日本新聞イベントサービス=092(711)5491。
=(12月20日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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