江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
09:30 〜 18:00
福岡アジア美術館
2025/01/09 |
ポスターの中の少女、ギャグ漫画、レコードジャケット。江口寿史さんのポップな画風は年月を経ても色あせない。福岡アジア美術館で今週末まで開かれている展覧会をのぞいた。
幅広い世代に人気の漫画家・イラストレーターは熊本県水俣市出身の68歳。今の時代の「余分なもの」について、興味深い話を本紙に語っていた。代表作の一つにファミリーレストラン、デニーズのメニューブックの表紙がある。ボックス席で広げる大きなメニュー。ファミレスが外食産業の雄だった1990年代に描いた。
これをきっかけに仕事が急増した思い出深い作品という。最近、26年ぶりに同じオファーが届いた。当時に比べればファミレス文化も下火になった時代に、江口寿史のイラストなんて「余分なもの」ではないか、料理の写真だけで十分なはず―。
江口さんは懸念しつつ引き受けたが杞憂(きゆう)だった。「絵を見るために店に行った」と予想以上の反響がネット上に続いた。「余分なもの」を求める人の気持ちは今も変わらずあるのだなと思ったそうだ。
「余分なもの」とは何だろう。例えばスーパーのプライベートブランド商品は簡素なパッケージで中身を伝え、良質で低価格。余分も無駄もない。道具や服も機能性を求めればシンプルになる。ただ、そこには味気なさも感じる。余分なものがあればこそ生まれる味がある。その味を楽しめるゆとりを持っていたい。
=(1月9日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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