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九歴と九博で「令和」関連展示 大宰帥や大伴氏 考えるきっかけにも【コラム】

2019/06/05 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 

大伴旅人邸の候補地3カ所を紹介している九州歴史資料館の展示

新元号「令和」に関連した展示が九州歴史資料館(九歴、福岡県小郡市)と九州国立博物館(九博、同県太宰府市)で開かれている。両展示とも、典拠の万葉集「梅花の歌三十二首」に縁深い大伴旅人や時代背景などに焦点を当てつつ、旅人が就いた大宰帥(だざいのそち)(帥)の位置付けや旅人の一族大伴氏について考える内容にもなっている。

九州国立博物館に展示している瓦。大伴旅人が長官を務めていた時代の太宰府政庁の屋根を飾っている


 大宰府政庁跡の発掘と深く関わってきた九歴はミニコーナーを設け、旅人邸=帥の館の場所を巡る問題が中心の展示。「坂本八幡神社」「月山東地区官衙(かんが)跡」「榎社の東側」の3カ所の候補地を紹介し出土品を展示、航空写真や条坊を復元した地図を使って政庁跡との位置関係を示す。これが大宰帥の実像を考えるヒントになる。
 大宰府を当時の都・平城京に置き換えると、政庁正殿北西の「坂本」は大極殿の北にあった内裏=天皇の住居=と似通う。帥は特別な存在という印象になる。「月山」は政庁東側に隣接し、この位置関係は奈良時代初期の実力者・藤原不比等の邸宅と宮城=平城宮の関係によく似ている。「榎社」は政庁から南に600メートルほど離れる。街中であり、榎社が左遷されてきた菅原道真の館跡であることも加えれば、特別感は薄い。
 帥は大臣や大納言に次ぐ高官。旅人時代の帥が単なる長官なのかそれ以上の存在だったかが解明されれば、おのずと邸宅跡は絞られてくる。逆に邸宅跡が考古学的な調査で確定すれば帥の役割の分析が進む。
 一方、九博は、従来の常設展示を大きく変更せず、「令和」と関連する文物について緑色の説明板や万葉集の和歌などを添えた。一見、万葉集とは無縁な九州の古墳時代コーナーの「石人」に説明板がある。石人は筑紫君磐井と縁が深い石造彫刻。6世紀前半の「磐井の乱」鎮圧に旅人の祖先、金村が関わったことで大伴氏と九州に縁ができ、磐井傘下の民衆は大伴氏などの配下に再編された。複製品が紹介された大宰府史跡出土の木簡には「大伴部」と大伴氏配下の名前がある。旅人自身も梅花の宴の10年前に隼人制圧の将軍として九州に来た。武人としての大伴氏の顔も分かる。
 展示では、帥クラスが付けたベルトや旅人が勤務していた当時の大宰府政庁を飾っていた瓦なども並ぶ。遣唐使に関する展示物も当時の大宰府の雰囲気を説明する関連品として扱われている。万葉集への注目から九州の古代史にも関心を広げられる展示だった。
(古賀英毅)=5月29日 西日本新聞朝刊に掲載=

 

九州歴史資料館
新元号「令和」決定記念特別講座にあわせて、西本願寺本万葉集第五巻(複製)や大宰府史跡の出土品約20点を展示しています。
会期:平成31年4月9日(火)~平成31年6月9日(日)まで 
会場:第2展示室(一部)  〔観覧料無料〕

九州国立博物館
新元号記念特別企画「令和」

開催日程:平成31年4月23日(火)~令和元年12月22日(日)
会場:文化交流展示室
概要:新元号「令和」が大宰府に縁のある万葉集巻五の「梅花の歌三十二首」の序文から選ばれたことを記念して、大宰府の歴史・文化を国内外に向けて紹介する特別企画「令和」を開催します。大伴旅人が主催した「梅花の宴」につながる『歴史』と『交流』をキーワードに、それらの重層的な繋がりに着目。

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