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和田聡文個展「斬首譚」 顔失った悲哀 資本主義へ礫【コラム】

2019/07/31 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
和田聡文のインスタレーション

 先の参院選で日本中をあっと驚かせたのは「れいわ新選組」の躍進だろう。消費税廃止、奨学金チャラ、最低賃金1500円などを掲げ2議席を獲得、政党要件も満たした。「左派ポピュリズム」とも呼べる彼らは、「日本を取り戻したい人たち」の対極にある。国家よりも個人に光を当て支持を集めた。
 和田聡文(あきふみ)の個展「斬首譚」が福岡市のギャラリーで開かれている。タイトルに負けぬおどろおどろしい作品は、民主主義と両輪で戦後日本を牽引(けんいん)してきた資本主義への礫(つぶて)である。
 和田は1965年、大分県生まれ。東京工業大大学院で機械工学を学んだ。長く設計エンジニアとして勤務していたが2009年、リーマン・ショックの余波を受け事業所が閉鎖されたために退職。かつて絵に親しんでいた経験から個展を開くようになった。

会場の様子
会場の様子
会場の様子


 展覧会を「プレゼンテーション」と呼ぶ和田の展示は、縦長の水墨画で会場を埋め尽くしたインスタレーションがメイン。中央に人が落ちる水墨画を柱のように囲み、中から光を当て雨音を流す。壁には頭に動物を据えた人体の絵が並ぶ。それらはナメクジや魚など手足のない生き物で、おぞましささえ漂う。
 「資本主義では個人の功績が上司へ、さらには会社へ、最終的にはブランドへと仮託され、実際の開発者の主語は失われる」
 和田はいくつもの特許技術を発明しながら権利は会社に帰属してきた。グロテスクにも見える作品は、この国のどこにでもいる顔を失った人々の悲哀なのだ。
 個を軽んじれば手痛いしっぺ返しを食う。かの大手芸能事務所が混迷を深めたのも、個人の訴えより会社の論理を優先したからではないか。 (藤原賢吾)=7月29日 西日本新聞朝刊に掲載=

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