資料展示 アニメ映画「この世界の片隅に」大ヒットの軌跡

活況を呈した昨年の日本映画界では、アニメや特撮映画の活躍が目立つ。中でも独特の反響で印象に残るのが、こうの史代のマンガ作品を原作とするアニメ映画「この世界の片隅に」（監督・片渕須直）である。

戦時下の広島・呉を舞台に、平凡な少女「すず」の嫁ぎ先での暮らしぶりと心の動きを細やかに描いた作品は、鑑賞した人々の間で話題を呼び、全国63スクリーンでの公開から3ヶ月後には300スクリーンを突破。異例のロングランヒットとなった。

観た人が語り、人に勧めたくなるこの作品の秘密は、綿密な調査と考証にある。戦時下の暮らしの細部や街の風景の隅々まで、当時を知る人々への聞き取りを繰り返し、徹底的に再現されている。

波瀾万丈の物語や衝撃的な演出は、一度観れば印象が薄れてしまうが、戦時下の街と人々の暮らしをスクリーン上に丹念に再現したこの作品は、観るたびに新たな発見があり、深く静かに人々の心に浸透する。

この夏、7月15日（土）から小倉昭和館でアニメ映画「この世界の片隅に」が上映されることを記念し、北九州市漫画ミュージアム・６階 常設展エリア「あしたのギャラリー」で資料展示が行われる。