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久留米市美術館 開館10周年記念展「美の新地平 石橋財団アーティゾン美術館のいま」【学芸員コラム】(その2)

2026/05/06 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

久留米市美術館の開館10周年を記念して、石橋財団アーティゾン美術館の新収蔵品を中心とした、「美の新地平 石橋財団アーティゾン美術館のいま」を開催中です。
印象派や日本近代洋画など、ブリヂストン美術館の伝統を引き継ぎながら、現代美術や女性作家、日本近世美術の収集にも力を注ぎ、コレクションの幅を広げ続けているアーティゾン美術館。
時代と国境を超えたアーティゾン美術館の「いま」を伝える名品約80点をご紹介します。
本連載では、久留米市美術館の森智志学芸員から、3回にわたって見どころを紹介していただきます。

その1はこちら

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ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》、パウル・クレー《双子》

石橋財団コレクションは、石橋正二郎が築いた日本近代洋画と印象派を中心とした西洋美術を核としています。作品の収集は1956年に設立された石橋財団によって引き継がれており、財団設立の50周年を迎えた2006年には、コレクションを大幅に拡大。第二次世界大戦後の美術作品も新たに収集されました。さらに、2020年のアーティゾン美術館開館からは、アメリカの抽象表現主義や日本の前衛美術などの抽象絵画も充実しました。
こうした新たな収集作品は従来のコレクションから切り離されたものではありません。むしろ、ブリヂストン美術館時代から同館の顔であったセザンヌやピカソ、マティスといった画家たちの作品から、現代までの変化を一続きの流れとして捉えることを可能にしています。
その大きな鍵となっているのが、抽象絵画の確立に大きな役割を果たしたカンディンスキーとクレーの作品です。そして、広くヨーロッパで活動した彼らの作品が加わったことで、従来のフランスを中心としたコレクションに新たな地理的視点ももたらされることになりました。

ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924年

カンディンスキーの《自らが輝く》は、画面左下に入れられた年記の通り、彼がワイマールの総合デザイン学校バウハウスで教鞭を執っていた1924年に描かれました。画家の残した記録によって、同年の3月から7月にかけて制作されたことまで分かっています。円や三角形といった幾何学的な形態が重なり合う、対角線を意識した構成をとっています。そして、鮮やかな暖色と白が対比的に配されており、タイトルの通り、画面自体が発光しているかのようです。

パウル・クレー《双子》1930年

石橋財団は2019年にクレーの作品24点を一気に収集。その後もコレクションを続け、現在では31点を所蔵しており、質・量ともに国際的にも有数のコレクションとなっています。《双子》も2022年に新たに収集された作品のうちの一つです。黒や黄色の色面、あるいは平行に引かれた線で埋め尽くされた図形が重なり合って一つの形を作り出しています。さらに2組の足と二対の眼と思われる丸い点もみられ、ふたつの存在が寄り添って一つとなる形態として描かれていることがわかります。

森智志(久留米市美術館)

※その3に続きます
※掲載作品はすべて石橋財団アーティゾン美術館蔵

[展覧会情報] ーーーーーーーーー
久留米市美術館開館10周年記念展
美の新地平―石橋財団アーティゾン美術館のいま
【日 程】2026/02/14(土) 〜 2026/05/24(日)
【時 間】10:00 〜 17:00   (入館は16:30まで)
【休館日】月曜休館(2月23日・5月4日は開館)
【会 場】久留米市美術館
【料 金】一般1,500円(1300円)、シニア1,200円(1,000円)、
     大学生以下無料 ※( )内は15名以上の団体料金
【主 催】久留米市美術館、西日本新聞社、読売新聞社、TVQ九州放送
【H   P】https://www.ishibashi-bunka.jp/kcam/
【問合せ】TEL 0942-39-1131(久留米市美術館)

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