
日伊国交樹立150周年記念
世界遺産 ポンペイの壁画展
2017/04/15(土) 〜 2017/06/18(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
アルトネ編集部 2017/05/21 |
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福岡市博物館で6月18日まで開催中の「世界遺産 ポンペイの壁画展」。会場に展示されているのは門外不出といわれる2000年前に描かれた至宝の壁画群。西日本新聞朝刊に連載された、漫画家のヤマザキマリさんが語る壁画と古代ローマの魅力を、アルトネでもご紹介します。(編集部)
「成り金っぷり」に驚き
壁画「赤い建築を描いた壁面装飾」を見た瞬間、「なんという成り金っぷり!」と思った。描かせた家主の顔が目に浮かびますよ。「俺はこれだけのことをやったんだぜ」という自己主張がすごく強い人だったんじゃないでしょうか。
この壁画が飾られていたのは、ベズビオ山の麓にあるボスコレアーレの別荘。ローマ皇帝ネロの2番目の妻で、あの派手好きなポッパエア・サビナの実家ではないかといわれている。とにかく経済的に潤っていることを、家屋で表現しようとした典型的な家だったに違いないですね。
壁を埋め尽くす壁画ということもさることながら、奥行き感を出して広さを演出しようとしてますよね。だまし絵のように外につながっているように見せようと頑張ってます。
女神を描かせたり、あちこちにお祭りで使うリースを飾らせたりと、とても華やかな物が好きだった人だったのでしょう。とにかく絵師に「誰が見てもびっくりするような家にしてくれ」と依頼したんじゃないでしょうか。この絵師は派手さがセールスポイントだっただろうし、壮麗な作品にするのが得意だったと思いますよ。赤い顔料もふんだんに使って、この壁画はとんでもないお金が掛かったはずです。
ただ、確実に言えるのは、経済力がなければすごい作品は生まれないということ。ルネサンスがあれだけの芸術を生んだのは、フィレンツェが都市として栄えたから。古代ローマも戦争で領地を増やしお金に困らない人が増えて、精神的にゆとりがある人がいたから、これだけの作品が生まれた。ポンペイの壁画を見ると、当時は経済的にも潤っていたのだろうということが、容易に推測できます。 (談)
=5月10日西日本新聞朝刊に掲載=
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