江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2019/10/01 |
夏から秋にかけて、福岡県糸島市にある海辺のアトリエで描いている。「食欲、睡眠欲、海水浴」と言うほど愛した水泳は体力を鑑み自粛中だが、キャンバスへの欲求は変わらず、線に色に、ほとばしる。絵筆を走らせると「キャンバスの方から呼びかけてくる」感覚がある。
「それでいい、もっと押して描いていいと勇気づけられるんです」
「大きくやって驚かす絵」は嫌い。ほれ込んだ坂本繁二郎の絵のように「つぶやき、ささやくように、人を近寄らせる何かを持っているもの。絵とは本当は、そういうものじゃないかと思うんです」。
9月23日からは、福岡市内で個展を開く。新作版画を中心に油彩も合わせた約30点。「なにをあくせく」「独りぼっちの象」などタイトルには変わらず穏やかな詩情が灯(とも)り、小品の中で不思議な生命体が脈打つ。
「かっこつけてるけど、もうすぐ100歳のおじいちゃんですよ」。今年12月で99歳、最も新しい現在点の仕事を見せる。
東京五輪に合わせ、港区・青山一丁目駅の地下道のステンドグラスの依頼も受け、ここ数カ月、原画制作に向き合っている。最初は原画がステンドグラスになるのは、原作小説が映画になるようなものだと考え、シナリオを書くように描こうとしたが、ステンドグラスの親方から「やめてください、原画が弱くなる」と言われたという。
「描きたいというものが出ていないとだめなんだね」。絵は「空間の仕事」と言い、そこに確かな実在の感触とイメージを、衝動をもって刻み続けている。
100歳になる来年は、都内で記念展を開く予定だ。 (平原奈央子)=9月20日西日本新聞朝刊に掲載=
野見山暁治版画展 9月23日~10月3日まで。福岡市中央区今泉のイタリア会館・福岡のギャラリー「SPAZIO(スパツィオ)」。イタリア会館・福岡=092(761)8570。
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
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