
民藝 MINGEI-美は暮らしのなかにある
2025/02/08(土) 〜 2025/04/06(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
アルトネ編集部 2025/02/21 |
|
日常の生活道具の中にある美しさやデザイン性を紹介する展覧会「民藝 MINGEIー美は暮らしのなかにある」が2月8日(土)から福岡市早良区百道浜の福岡市博物館で開催中です。
「民藝」という言葉は色々な雑誌やメディアにもしばしば登場し、私たちの暮らしに身近なものとなりつつあります。日常生活のなかで用いられてきた手仕事の品々に美を見出した「民藝」の考えは、約100年前に思想家・柳宗悦が初めて説いたものです。
柳宗悦は工芸家の富本憲吉や河井寬次郎、濱田庄司等と日本民藝美術館の設立に尽力し、1936年に日本民藝館が開館しました。展覧会の会場には、日本民藝館開館5周年記念として1941年に開催された「生活展」での展示の再現を試みています。
柳宗悦らの審美眼によって選ばれた食器や花器、また中央に置かれた大きなテーブルや椅子など、今見ても非常に現代的でセンス良く飾られています。
会場は「衣・食・住」のテーマに添って、日本のみならず海外で作成された品々なども数多く展示されています。
眼を引いた展示品のひとつに「いっちん行平」という可愛らしい陶器が展示されていますが、キャプションには筑前野間(福岡)と書かれています。これは、実は福岡市南区の野間や皿山にあった窯元で焼かれていたものです。
福岡市博物館の石井学芸員によると、昭和40年代ぐらいまで、土鍋などの台所用品や当時駅弁と一緒に販売されていたお茶を入れる土瓶などを盛んに作っていたそうです。今では住宅やマンションが立ち並ぶ住宅地になっていますが、こんなかわいい食器を作る窯場があったんですね。
個人的に素敵だな、と感じたのが桐文様の行灯。マンションのリビングや寝室の間接照明に使えたら贅沢だなと思いました。
会場の終盤には、現代の生活のなかに民藝を活かすとしたらという、提案展示がされています。展示を構成したのは東京・高円寺のセレクトショップ「MOGI Folk Art」ディレクターのテリー・エリスさんと北村恵子さん。
海外の人からは、民藝の中にあるデザインや美しさなどの芸術性が評価されているそうです。展示も日常の実用性に加え、各国の民族性等も取り入れ、豊かな空間が構成されています。ここまでは難しくても暮らしのヒントになるような要素がたくさんあって、私たちの日々の彩りに参考になるのではないでしょうか。
なお、「民藝 MINGEIー美は暮らしのなかにある」展と連動し、福岡市博物館企画展示室でも「民具と生活−暮らしの中の意匠(デザイン)、暮らしのための設計(デザイン)」という企画展示が開催中です。
興味を引いたのが、福岡市東区馬出地区で作成されていたという木工品の曲物です。今は「博多曲物」と呼びますが、当時は「馬出曲物」とか「箱崎曲物」と呼んでいたそうです。
実はこの曲物の生産地も柳宗悦やバーナード・リーチが訪れているんです。シンプルで使い飽きがしないデザインを評価していたんでしょうか。
残念ながら、現在では博多曲物を実際に製作しているお店は2軒しか残っていないそうです。博多の市井の人々を支えた民藝の美が続いていくことを願っています。
民藝展にも展示されている野間焼ですが、こちらの企画展にも土瓶が展示。
形や風合いも綺麗で、個人的にはこういう焼き物が今でも買えたら良いなと考えてしまいました。
「民藝 MINGEIー美は暮らしのなかにある」は4月6日(日)まで、福岡市博物館で開催中。心が豊かになる、日々の暮らしのヒントがある展覧会です。
◇◇
◆展覧会名:民藝 MINGEIー美は暮らしのなかにある
◆会場:福岡市博物館(〒814-0001 福岡市早良区百道浜3-1-1)
◆会期:2025年2月8日(土)~ 4月6日(日)時間:9:30~17:30 ※最終入場は30分前まで
◆休館日:毎週月曜日 ※2月24日(月・休)は開館し、2月25日(火)は休館
◇◇
◆公式HPはこちら
『民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある』公式サイト
◆オンラインチケットはこちらから
2025/02/08(土) 〜 2025/04/06(日)
福岡市博物館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2025/01/25(土) 〜 2025/03/20(木)
福岡市美術館
2025/02/27(木) 〜 2025/03/31(月)
福岡三越9階「三越ギャラリー」
2025/03/01(土) 〜 2025/04/06(日)
福岡アジア美術館