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詩人・最果タヒさんの九州初個展 アルティアムで開幕【レポート】

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秋吉真由美
2020/08/31
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 まるで炭酸水のように軽やかな表現があったり、ストレートに“死”や“愛”という言葉を並べていたり。読後の印象は、簡単に一括りに語れない歯がゆさが湧き上がる。でも透明感がある空間が心地いい。

 詩人・最果タヒさんの九州初個展「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」が三菱地所アルティアムで開催されています。書き下ろし作品を含むインスタレーションは見応えたっぷり。アートディレクションは、これまで最果さんの書籍のデザインなどを手掛けてきたグラフィックデザイナー、佐々木俊さんが担当しています。

 最果タヒさんは、中学生のころからインターネット上で言葉を発表し、2006年に現代詩手帖賞、2008年に第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞、2015年に詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。主な著書は、詩集『空が分裂する』、映画化もされた『夜空はいつでも最高密度の青色だ』、『愛の縫い目はここ』『恋人たちはせーので光る』など。小説やエッセイ集なども手がけるほか、東京の商業施設「ルミネ」のクリスマスキャンペーン、京都のホテルとコラボレーションしたコンセプトルーム“詩のホテル”など、多岐にわたる活動を展開しています。

 

“詩”を体感する

 照明のように仕掛けられた丸いオブジェは『ループする詩』。輪の中にすっぽり入ると、目の前に詩が現れます。どこからでも読んでもOKだそう。

『ループする詩』

 詩と詩が重なった部分も面白い『詩と身体』。読み進めるにつれて、しゃがんだり、体を傾けたり。

『詩と身体』

 奥の部屋にある『詩ょ棚』は、一つの棚で詩が完結する仕掛け。好きな本を並べた自分の部屋の本棚のような、あるいは書店で気になるタイトルの本を取るように。そんな風に読みたい言葉が並んでいます。

『詩ょ棚』
一つの棚で一つの詩になっています

詩との出会いを演出

 白い壁には、『いまなん詩゛?』。左の言葉は“時”、中央の言葉は“分”、右の言葉は“秒”を表しています。「あっ、今のなんかいいな」。言葉の組み合わせは何通りも。そんな、詩との出会いがうれしい作品です。

『いまなん詩゛?』
1秒ごとに変わる詩。目が離せない作品です

 広い空間に展開されたインスタレーション『詩になる直前の、アルティアムは。』は、詩が書かれたモビールが踊るように天井からつるされています。

『詩になる直前の、アルティアムは。』

 歩を進めると飛び込んでくる言葉たち。好きな詩を探すように歩いたり、目に飛び込んでくる詩を楽しんだり。

 ふと無意識に目に入ってくる言葉は、今気になることのヒントになることも。そんな詩との出会いが連続して訪れる、そんな素敵な空間です。

 いろいろな形で“詩”を魅せてくれる同展。ぜひ、最果タヒの世界を体感してください。

 

詩がそのままグッズに

 併設のショップではオフィシャルグッズも販売しています。

 3篇の詩が金平糖に。

詩の金平糖(各2,700円税込)

 自分のために好きな詩を選んだり、贈る人を思い浮かべながら選んだり。

詩が書かれたモビール付きの瓦せんべい(各390円税込)

 詩がケースの中で踊ります。

詩のスマホケース(3,850円税込)

 好きな言葉を貼ったり、切ったり。

詩のマスキングテープ(550円税込)

 きれいな色の飲み物を揺らしながら、くるりと書かれた詩をじっくりと読みたい。

詩のグラス(各900円税込)

 詩の世界観がそのまま反映されたグッズにも注目です。

 

 

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