東京藝術大学 スーパークローン文化財展
アジアの美にふれる―法隆寺・高句麗・敦煌
2021/01/16(土) 〜 2021/03/14(日)
09:00 〜 17:00
大野城心のふるさと館
秋吉真由美 2021/02/22 |
大野城心のふるさと館(福岡県大野城市)で開催中の「東京藝術大学 スーパークローン文化財展 アジアの美にふれる―法隆寺・高句麗・敦煌―」。3D計測や3Dプリンター、高精細画像撮影などの最先端デジタル技術と伝統的な保存修復技術によって再現した、計20点の“スーパークローン文化財”が並んでいます。
目の前に釈迦三尊像! 焼損した金堂壁画も再現
まずは3階にある第1会場へ。ここでは、法隆寺金堂を再現。釈迦三尊像と焼損した金堂壁画が間近で鑑賞できます。
釈迦三尊像は3Dスキャナを使って計測したデータを基に造形を復元。3Dプリンターで出力して鋳造の原型を作ります。また、蛍光X線分析により、成分元素や構成比率をはじき出し、原材料を解析。原型に銅を流し込み、伝統的な鋳造技術によって造形を完成させます。
完成した造形物に残る積層痕を消しながら表面を仕上げ、経年による劣化や色味を手作業で忠実に再現していきます。
金堂壁画は、焼損前に撮影された資料を基に再現。土壁を作り、下絵を転写して実際に使われている絵具で彩色する手法で焼損前の状態を再現しています。
お経を流し、お香の匂いをさせた空間演出は、まるで別世界に来たよう。会場に入った瞬間に厳かな空気に包まれます。普段はこんなに間近に鑑賞できることのない釈迦三尊像を、目線に近い高さで堪能できるのは貴重です。
また、普段は見られない背後に刻まれた銘文にも注目。銘文には、像が聖徳太子と同寸であることを示す“尺寸王身(しゃくすんおうしん)”と記されています。
釈迦三尊像と寸法が近く、聖徳太子との関連が伝えられている、現在、九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開催中の特別展「奈良 中宮寺の国宝」で展示されている「菩薩半跏思惟像」と見比べるのもオススメです。
今は非公開の世界遺産へ
まるでどこでもドアのように、一度に世界各国の文化遺産が見られるのも“スーパークローン文化財”の大きな魅力。
次は、中国・甘粛省にある世界遺産・敦煌莫高窟へ。保存のため拝観が制限され、現在非公開である敦煌莫高窟第57窟がここに再現されています。
次は、北朝鮮の世界遺産、高句麗後期に造られた高句麗古墳群江西大墓。高句麗古墳群壁画の中でも最高傑作と言われる、江西大墓の四神図が堪能できます。
ゴッホや北斎に“触れる”
続いて、これからはアートの楽しみ方が変わっていくのではと感じるコーナーへ。ここでは、再現された浮世絵と西洋画を展示。触って、絵画に顔を近づけて匂ってみる、といった、ただ絵画を見るだけではない新たな楽しみ方を提案しています。
浮世絵は、ボストン美術館スポルディング・コレクションによる高精細データを基に再現。高精細印刷をして、版木にあて凹凸を付けています。
ゴッホ特有の重ねた絵具や北斎の波に直に触れて、広重の雨のほのかな香りを感じて、今までとは違う鑑賞の仕方は、単純に楽しくて興味津々。ゴッホの自画像は、キャンバスの張り具合まで確認できます。
劣化を懸念して展示が厳しい文化遺産が、多くの目に触れることを実現するデジタルと伝統技術の融合。新たな楽しみ方が体感できる展覧会です。開催は3月14日まで。お見逃しなく。
大野城心のふるさと館ホームページでは、特別展「東京藝術大学 スーパークローン文化財展 アジアの美にふれる―法隆寺・高句麗・敦煌―」の魅力をおうちで体感いただけるオンラインギャラリートークを公開中です。迫力の4K映像(視聴環境によって異なります)でお楽しみください。
スーパークローン文化財展 オンラインギャラリートークは、こちらから。
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