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世界中の不思議なものが大集合! 人の好奇心と想像力は無限大 「驚異と怪異――想像界の生きものたち」【レポート】

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アルトネ編集部
2023/04/11
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 おどろおどろしいメインビジュアルが印象的な展覧会「驚異と怪異――想像界の生きものたち」。奇妙で怪しい、不気味だけどかわいい、世界の霊獣・幻獣・怪獣がたくさん展示されているそうです。〝この世のキワにいるかもしれない〟という想像界の生きものたちの正体を知るべく、会場の福岡市博物館を訪れました。

 「驚異と怪異」展は、大阪府吹田市の国立民族学博物館(みんぱく)からスタートし、兵庫県、高知県に次いで福岡で4カ所目の開催となります。みんぱくをはじめ、広島県の湯本豪一記念日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)や福岡市博物館、九州各地に所蔵されている約350点が展示されています。普段なかなか見られない世界中の不思議なものが一堂に並ぶ貴重な機会です。

 第1部は「想像界の生物相」。人間の好奇心や創造力で生み出した水、地、天の生きものを紹介しています。まず目に飛び込んできたのは、各地のさまざまな人魚たち。人と魚類の組み合わせはほぼ共通ですが、横たわる格好や顔の表情が千差万別です。比較してみると地域や文化の違いなど背景がわかって興味深いです。

人魚の皿(湯本豪一記念日本妖怪博物館蔵)
仮面や版画など、なんとも言えない表情も魅力的

 一方、龍は「支配者権力の象徴」「悪の権化」など、人間を超えた絶大な力として表現されたそうです。人の2倍ほどの高さはある中国の「龍舞の灯篭」や、龍の刺繍が施されたボリビアの祭りの衣装「悪魔踊りの仮面」など迫力がある作品が目立ちます。

龍舞の灯篭(国立民族学博物館蔵)
後ろの影が少し不気味なボリビアの悪魔踊りの仮面
(国立民族学博物館蔵)

 美しい鳥や珍しい鳥はおめでたい吉祥とされたり、悪い知らせをもたらす凶兆ともみなされたりしたそうです。蛇や虫も不気味なものである反面、想像や再生のシンボルであるなど、同じモチーフでも表裏の意味を併せ持っていることが多いようです。 

マレーシアのワシの精霊の木彫(国立民族学博物館蔵)

 

メキシコの仮面。左がカニ、右がイナゴとの組み合わせ
(国立民族学博物館蔵)

 会場には、所狭しと珍しい生きものが並んでいますが、いずれも魔除け、延命長寿、自然崇拝などいろいろな役割を担っていることががひしひしと伝わってきます。人間が「ありえない出来事」や「異なるもの」に出会ったときに、その混乱を解消するために生み出された想像界の生きものたち。人知を超越した存在を何とか表現しようとする想像力と創造力にあふれています。

 日本最大級の妖怪コレクションを有する湯本豪一記念日本妖怪博物館からは「人魚の骸骨」や「三頭竜のミイラ」「猫鬼の頭蓋骨」などが登場。猫鬼は福島県いわき市に伝わる角が生えた幻獣です。

角を持つ猫鬼の頭蓋骨(湯本豪一記念日本妖怪博物館蔵)

 福岡展ならではの展示もあります。福岡県豊前市と築上町にまたがる求菩提山(くぼてさん)に伝わる天狗の像は必見。火を沈める水の神様「火伏せの神」として地域の信仰を集めたそうです。そのほか、福岡市博多区の龍宮寺に安置されている人魚の骨とその生前の姿を描いた掛け軸、福岡県久留米市に伝わる河童の手など見どころ満載です。

木造天狗坐像・木造八天狗像(国玉神社蔵)

 続いて、第2部「想像界の変相」です。驚異や怪異といった現象をどのように認識し、整理し、表現してきたか、「見る」「知る」という切り口で先人たちの遺産をたどります。世界各地に不可思議な出来事をつづった書物や絵巻が伝わっており、時にはコミカルに、時には仰々しく描かれています。

ウリッセ・アルドロヴァンディ『怪物誌』
(国立民族学博物館蔵)

 イタリアの科学者アルドロヴァンディがまとめた『怪物誌』では、異形の動物や人を体系的に分類して論じています。発行されたのはなんと1642年。日本では1568年に現在の大阪府茨木市の元行という人が記した医学書『針聞書』が残っています。体の中で不調を起こす原因を小さな怪物たちの仕業と解釈していて、その絵はどこかユーモラスです。

元行『針聞書』(複製、原本九州国立博物館蔵)

 近年では、大流行した新型コロナウイルス感染症の収束を願って、江戸時代の瓦版に描かれていた妖怪「アマビエ」が注目を集めました。​人間が驚き、恐れ、敬いといった感情を抱き、それらと折り合いをつけなけばならない限り、想像界の生きものたちはいつの時代も世界のどこにでも現れるようです。
 人間の無限の好奇心と創造力が創り出した〝この世のキワにいるかもしれない〟生きものたちが会場で待っています。
 
 チケットは、ARTNEチケットオンラインで発売中です。ARTNEチケットオンラインはこちら。

「驚異と怪異ーー想像界の生きものたち」
【会期】 2023年5月14日(日)まで
【会場】 福岡市博物館(福岡市早良区百道浜3丁目1-1)
【開館時間】 9:30~17:30 ※入館は17:00まで
【休館日】 月曜
【観覧料】 一般1,600円、中高生1,200円、小学生800円

展覧会の公式サイトはこちら

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