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九州の驚異と怪異 福岡市博物館<上> 「異」なる気象現象は祟り【コラム】

2023/04/17 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
「天満宮御縁起」(下巻・部分)/鳥飼八幡宮蔵

 「怪異」とは、現実にはあり得ないと思われるような不思議なこと、怪しいことを示す言葉です。しかし古代の日本では、中国の思想が取り入れられ、天変地異は政(まつりごと)における不徳の表れと理解されていました。

 この考え方は奈良時代から平安時代前期になると、神仏の「祟(たたり)」という日本独自の理解へ変質していきます。その一例として延長8(930)年に起こった清涼殿落雷事件があります。

 「天満宮御縁起」には、天皇の居所である清涼殿に、黒雲とともに恐ろしい形相の真っ赤な雷神が現れ、落雷によって炎が上がり、官人たちが逃げている場面が描かれています。落雷による死者たちが、「天神様」こと非業の死を遂げた菅原道真の大宰府左遷に関わっていたことから、この落雷は雷神となった道真のたたり(怨霊)によるものとされました。

 会場では世界各地の「怪異」の在り様だけでなく「雷」の捉え方などについても、古今東西の奇妙で怪しい、不気味だけれどかわいい資料を通して紹介しています。 (福岡市博物館学芸員・河口綾香)

               ◇   ◇    

 福岡市早良区の市博物館で「驚異と怪異--想像界の生きものたち」が5月14日まで開催中。九州ゆかりの展示品を紹介する。

=(4月14日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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