福岡市美術館リニューアルプロジェクト
絵本作家・荒井良二さんと壁に絵を描こう
2017/11/03(金)
10:30 〜 16:00
福岡市美術館
伊勢田美保 2017/11/14 |
大濠公園に面した「福岡市美術館」が、昨年9月から休館中なのは、みなさんご存知でしょうか?2019年3月(予定)のリニューアルオープンに向けて、今着々と工事が進んでいます。その周囲を取り囲む「仮囲い」に先日、新たなアートが誕生しました。これは、福岡市美術館の開館記念日である11月3日(文化の日)に、公募で集まった子どもたちと絵本作家・荒井良二さんにより描かれたものです。
荒井さんは、2005年に日本人として初めて、子どもの絵本の国際的な賞である「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を受賞するなど、まさに日本を代表する絵本作家の一人。『たいようオルガン』、『あさになったら まどをあけますよ』などに代表される絵本のほか、NHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングイラストも担当されており、一度は目にしたことのある方も多いかもしれません。大人の常識に縛られず、日々の暮らしを子ども目線で見て描き出した画風やストーリーに、親子ともにファンの多い人気作家です。
その荒井さんと絵が描けるなんて!と、ワークショップには募集枠の3倍以上の子どもたちが応募。当日は、小学校3年生〜中学3年生の30人が、秋晴れの空の下に集まりました。今回はその模様をお届けしたいと思います♪
ワークショップは美術館公園側にある「国際友好の森」というお庭で10:30にスタート。
5班に分かれ、用意された高さ1.5m×幅4mの鉄製パネル5枚に、アクリル水性ペンキを使って描いていきます。まずは、パネルの上に物を置き、落とさないよう動かしてみるなどのウォーミングアップで体の緊張をほぐして、下地塗りまで行いました。
ポカポカのお日様のおかげで、午後には下塗りのペンキもすっかり乾燥。ここからは、「未来の美術館」をテーマに、各班に分かれて考えていきます。「未来の美術館ってなんだろ?」「どんな形かな?」。水の中の美術館、浮かぶ美術館など、子どもたちから自由な発想が飛び出します。
ある程度テーマが固まったところで、白や黒の絵の具で形を描き、色を重ねていきました。
荒井さんからは「もっと水を使うと塗りやすいよ」「線はつぶしてもいいんだよ。同じじゃつまんないから強弱をつけてみて」などぽんぽんアドバイスをしながら、「仕上げ」に向かいそうな各班の絵に、あえて絵の具をボトボト、爪でカキカキ!日頃ご自身の作品を描く際にもされているであろう、枠にとらわれない描き方に子どもたちもびっくり。
どんどん塗り重ねていく荒井さんに対し、「結構その色を作るのに時間かかったんだよ〜」と子どもに叱られ(?)、「すみません〜」と荒井さんが平謝りするという1場面も(笑)些細なやりとりに、絵で大人と子どもの垣根を超えてしまうお人柄がにじんでいました。
画材は、筆や刷毛に留まらず、手や爪、段ボールの切れ端・・と、これも自由!「ベタッと塗ったところ、そうでないところ、いろんな表現ができると面白いよね」という荒井さんの言葉通り、画材に縛りがないことで子どもたちのテンションもアップ。
そうして、終了時刻までラスト数分。「終わり〜!」の声にもなかなか手を止めない子供たち。約5時間かけて行われたライブペインティングが無事、終了しました。
出来上がったのは「形のない美術館」「移動できる美術館」「海の中の美術館」「電球」「春夏秋冬」の5つ。それぞれにしっかりとしたコンセプトやストーリーがあり、発想の豊かさに、見ていた大人も驚かされるばかりでした。
総評として荒井さんは、「描かれたものの良し悪しより、知らない者同士がある一つのテーマに沿って話し合って、決めていくということがワークショップの面白さ。自分の意見が通らなかったりする大変さもあるけど、自分の意見も伝えながらみんなでやるのが大切ですね」とコメント。
参加者の一人に感想を尋ねると、「最初は知らない子ばかりで緊張したけどだんだん慣れてきて、話せるようになった。こんなに大きなキャンバスに描いたことないから楽しかった!」とペンキでカピカピになった手を見せてくれながら話してくれました。
「未来の美術館」を想像して子どもたちと荒井さんが思いを込めて描いたこのパネルは、リニューアルオープンまでの一定期間仮囲いに設置され、自由に観覧OK。ぜひウォーキングの途中などに見ていってみてください。そして再来年、この仮囲いの向こうで新たな美術館に出会えるのを楽しみに待ちましょう♪
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