ホキ美術館所蔵名品展~超絶リアリズム絵画~
2024/09/07(土) 〜 2024/10/13(日)
福岡アジア美術館
伊勢田美保 2018/02/15 |
「密やかな部屋—きらめく昆虫標本—」というなんとも色気漂うネーミングの展覧会が、天神イムズ8Fの三菱地所アルティアムで開かれている。九州大学総合研究博物館所蔵の日本最多400万点を超す昆虫標本コレクションから、とりわけ美しく芸術的な昆虫約2000点を厳選して展示しているという。監修は日本全国、そして東南アジアや南米などのジャングルにまで自ら出向き昆虫調査を実施している話題の昆虫学者・丸山宗利先生。これは気になりすぎる!ということで早速行ってきた。
会場内に入ると、真っ赤な壁がお出迎え。まさに「密やかな」部屋に入り込んだようで、ディープな雰囲気にドキドキ・・。
展示は多様な色・形の蝶からスタート。種ごとに分類されフレームに納められた蝶たちは、それだけで一つのアートのよう。
セミと蝶が融合したような形の「ビワハゴロモ」は、本展示の中でも丸山先生のお気に入りの一つ。淡く繊細な羽の美しさに見とれる。
擬態する昆虫も面白い。これは毒や角などの武器を持たない昆虫が、植物の一部に擬態し身を隠しているもの。存在自体は知っていても、こうして間近に見ると、生物の進化の力に心底感心してしまう。
子どもたちが大好きな、クワガタもいた!美しいクワガタの筆頭といわれる「ツヤクワガタ」は、名前の通り体がつやつや。よく「ニスを塗っているの?」と質問する人もいるそうだが、正真正銘自然のままだそう。
実は丸山先生は、アリと共生する甲虫などをはじめ小さい昆虫がご専門。
こちらの爪の先ほどの昆虫は、珍奇昆虫の代表「ツノゼミ」の仲間。頭の上にコブのような角があるそうだけど、肉眼では小さすぎて全くわからず・・。受付で貸し出している虫眼鏡を借りて見てみると・・角あった!写真ではよくわからないと思うので、ぜひ実物を見てみてほしい(それにしても先生、よくこんなに小さな昆虫を探し出せますね)。
本展はこれら本物の昆虫だけでなく、昆虫・植物画も数十点展示されている。写真技術が一般的でなかった時代の希少な記録として描かれたものだそうだ。
そしてぜひ注目してほしいのが、一風変わった木製家具を使った展示コーナー。この家具は、九州大学の移転に伴い、廃棄予定だった家具一式を九州大学総合研究博物館で保護。一般貸し出しをしながら保管しているというもので、本展でもこの貴重な家具と美しい甲虫のコラボレーションを楽しめる。
それにしても本当に美しい・・。
生物とは思えぬきらめきを持つ甲虫たちは、じっと眺めているうちにジュエリーや宝石など、どこか違うものにも見えてくるから不思議だ。
ここまでくればもう大満足だが、展示は最後の最後にも見所を用意してくれている。それは昆虫の拡大写真。小さく、しかも凹凸のある昆虫の体全体を綺麗に写しとるのは至難の技。そこで、特殊なカメラを用いて、ピントが合った部分を合成して1枚に仕上げる「深度合成写真撮影法」によって、丸山先生自身が撮ったものだそうだ。
例えばこちらの体を拡大すると・・
こんなに細かなドットが!
かくも奥深い昆虫の世界。その魅力にとりつかれてしまった人は、ぜひ併設ショップへも行ってみてほしい。昆虫博物画や標本のほか、昆虫モチーフの便箋、マスキングテープなどの可愛い雑貨もたくさん販売している。
現在、世界に300〜500万種も存在しているとされる昆虫は、「この世界の生物の中でも一番種が多い」そうで、人間が知っているのは、そのほんの一握りという。世界って本当に広い!ちなみに、展示室出口には丸山先生への質問応募BOXもあり、2月末頃にアルティアムのホームページで先生からの答えが見られるそうなので、探究心でいっぱいになった方はこちらもご参加あれ。
展示は3月11日(日)まで。ぜひこの機会に、奥深い昆虫の世界にトリップしてみてはいかが?
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