特別展 「 浄土九州ー九州の浄土教美術ー」関連イベント
笑い飯哲夫のおもしろ仏教講座
2018/09/20(木)
16:30 〜 17:30
福岡市博物館
伊勢田美保 2018/10/11 |
福岡市博物館で開催中の「浄土九州」。関連イベントとして9月20日、「笑い飯 哲夫のおもしろ仏教講座」が開催されました。子供の頃から仏教に強い関心を持ち、奈良国立博物館では文化大使を務める、人気お笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さん。好きが高じて仏教の著書を出すほどの深い造詣をもとに、独自の視点から仏教を語るというこのイベント。これは哲夫ファンも仏教ファンも必聴!と、平日の開催にも関わらず、多くの老若男女が駆けつけました。
「この講座はチケット制ということで。お気の毒に…料金は聞いてないけどさぞかし法外なんでしょうね〜。え、展示会の入場料込みで2000円?激安!そりゃ完売するわ!」
福岡市博物館には初めて来たという哲夫さん。博多ラーメンというのに博多博物館じゃないんだね、と会場を温めつつ、本題に移ります。
お釈迦様の誕生、因果の話、そもそも何で自分が仏教の話をするのか?などなど、地域ボケも時事ネタも挟みながら会場はどんどん哲夫ワールドに引き込まれていきます。
そしてお釈迦様がいかにして悟りを開いたか?という話に。
「悟った瞬間に、体がピカーンて光って、髪の毛がバーッと伸びて、一気にくるくる〜ピシーッと。おでこからピュー、ぴしーって。今の仏像、たいがいそんな姿してるでしょ。パンチパーマみたいなやつ。おでこにもほくろみたいなんある。あれ長い髪の毛がくるくる〜って巻いたの」。
…擬音語多い(笑)けど分かりやすい。
次々発せられる仏教話に、会場も「へえ〜」の連続。哲夫さんの会場いじりを楽しみつつ言葉と知識のシャワーを浴び続けていたら、あっというまに残り時間3分に!焦る哲夫さん。すると会場のお客さんから「延長いいですよ」の声と拍手が!「いいですか、ほんならあと45分延長します〜」に、またどっと笑いが起こります。
そしてここから、いよいよ仏教の真髄に。
「苦しみの原因は煩悩。煩悩の原因が我執、自分に囚われてる。じゃ、我執を潰すにはどうしたらいいか。〝八正道〟という、8つの正しいことをやりなさいと。で、我執が潰れるとどういう感覚になるかというと…」
「はい、みんな一緒だよ。小学校に逆戻りです!」
これは般若心経の「色即是空」の「空」の概念。これを哲夫さんは『カレー理論』と呼んで、独自に解釈しているそうです。
「イメージとしては1つの鍋にカレーが入ってます。これが世の中。そこに、ちっちゃな無数のお玉がルウをすくいに来る。すくわれた部分が僕。他のところですくわれたのが、それぞれ別の存在。ただ、このお玉には小さな穴が空いてて、全部、鍋に戻っちゃう。だから結局、み〜んな一緒。今は、自分とあなたが別に見えてるけど、それは仮の存在になってるだけ」。
「あとお玉が空になってまたすくいに来ても、さっき入ってたものと同じものが入るなんて絶対にありえない。お釈迦さんは、一個の魂が生まれ変わるなんて考えるな、って弟子に言ってるんですよ」。
実はさっきもトイレで歯磨きしてたら歯ブラシ落としてしまって…と話は思わぬ方向に。
「めっちゃためらった。でも、自分と人を区別するから嫌なんやと。み〜んな一緒と思えば結構平気、一回洗ったらいける〜」
これには会場もどよめきが(笑)。
その後も、十二因縁(人間の苦悩の原因が、最終的には無明=無知にあるとする考え方)の説明に、先ほどの歯ブラシの話を当てはめて例えたりと、難しいことを分かりやすすぎるほど分かりやすく説明してくれます。
予定の終了時刻を15分ほど過ぎ、そろそろ締め?まだまだ話が聞きたい!と思っていたところ、「じゃお客さんも帰り始めたので、そろそろスライドに行きたいと思います」とさらなる延長宣言(笑)。
お釈迦様の遺骨を安置するのがいわゆる五重塔などの〝塔〟で、配置が時代とともに変わっていること。如来・菩薩・明王・天という仏像のランクについて。自分の好きな仏像についても、紹介してくれました。
最後に今回の展示会について。
「阿弥陀さんが迎えに来るやつあるでしょ。来迎図。阿弥陀さんの傍に二人いて、左が勢至菩薩さん、右が観音菩薩さん。誰か死んだら西の方からバーって3人飛んできはる。阿弥陀さんは手でわっか作って『天国来てもおっけ〜』って。勢至菩薩さんは手を合わせて、観音菩薩さんは台持ってはりますわ。ここ亡くなった人乗せて帰ります〜って。ウェイトレスが空のお盆持ってきてるみたいなね。あれ見応えありますよ」と、独自の視点でお気に入りを披露。
「へ〜」の連続で、笑いっぱなしの1時間半(結局30分オーバー)。噛み砕いて教えてもらったおかげで、なんだか仏教がとても身近に感じたのでした!最後は、そんな哲夫さんのメッセージで締めたいと思います。
「鮮やかな芸術としてもすばらしいし、思わず手を合わせてしまうようなありがたい仏さんがたくさんいてはりました。皆さんもぜひ、見に行ってください〜」
<おまけ>
本展会場の壁に、哲夫さんがサインを残してくれています。展示と合わせてこちらもぜひチェックしてみてください!
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