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西方に極楽あり11 シンクロニシティ【連載】

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末吉武史
2018/09/24
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シンクロニシティ

この夏は東から西に「逆走台風」が来たことですし、ちょっと逆走ぎみのネタをやります。
ある日のこと、学芸課で心を無にしながら図録の原稿を書いていると、誰かが「末吉さん、近所にこんなチラシが貼ってありますぜ?」とスマホの写真を見せてくれました。
覗いてみると、イエス様のモザイク画に「光は東方より」というコピーが入った西南学院大学博物館の展覧会チラシでした。同大学は博物館のすぐ近くにあるミッション系の大学です。

何となくデザインも似ているし、早くも「西方に極楽あり」を掲げる浄土九州展のパクリオマージュが来たか?と学芸課長を含む一部の学芸員たちが無駄に盛り上がっています。
そうするうちに、いつの間にか働き者の広報担当さんが先方に連絡してコラボしようということになって、ホールに例のイエス様とうちの阿弥陀さまのチラシが並べて貼ってあるじゃないですか(笑)。

聖☆おにいさん?

これじゃまるで漫画の「聖☆おにいさん」みたいですよね。
そんなことを思いながらイエス様のチラシをよく見てみると、懐かしい名前を見つけました。

西南学院大学博物館チラシ

 

10月6日(土)におこなわれるシンポジウムの講師、東北学院大学の鐸木道剛先生です。鐸木先生は以前、僕の母校である岡山大学で教鞭をとっておられたロシアイコンの専門家で、直接の指導教官ではなかったけれど何かとお世話になりました。イコンとは東ローマ・ビザンティン美術の伝統を受け継いだ聖像画のことで、「アイコン」の語源だそうです。

僕も大学では指導教官(お師匠さま)に就いて仏教美術史を学びましたが、同時に鐸木先生のような周囲におられた西洋美術史や美学の先生方の影響も受けることができて、今思えばすごく豊かな知の世界に居たのだな~と思います。

さて、その成果かどうかは分かりませんが、今回の浄土九州展ではこんな作品も展示します。
大分県日田市出身の画家、宇治山哲平(1910~1986)が、自身の菩提寺である大超寺の本堂に奉納した「極楽お浄土」というタイトルの襖絵です。

宇治山哲平「極楽お浄土」

宇治山さんはカラフルな○△□で構成された独特の抽象画で知られていますが、それにしてもこの作品にはどのような意図を込めたのでしょうか。よく見ると中には十字架(?)のようなモチーフも描かれています。

皆さんもぜひ会場に来て、現代美術と浄土教美術のコラボを楽しんでくださいね。

=2018年7月30日福岡市博物館ブログに掲載=

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