京都・醍醐寺展 -真言密教の宇宙-
2019/01/29(火) 〜 2019/03/24(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
アルトネ編集部 2018/11/06 |
歴史の表舞台で重要な役割を果たしてきた京都の名刹・醍醐寺をご存知でしょうか。貞観16年(874年)に空海の孫弟子にあたる理源大師聖宝(しょうぼう)(832~909年)によって開かれて以来、真言宗醍醐派の総本山として、1100年以上の歴史があり世界文化遺産に登録されています。
密教美術の宝庫ともいえる寺宝数は約15万点、本展ではその中から選りすぐりの作品が鑑賞できます。
「京都・醍醐寺 -真言密教の宇宙-」は、宗教活動が認められていない中国の二都市(上海・西安)で80万人以上を動員した「醍醐寺の名宝展」(2016年)の開催を記念した展覧会で、東京と福岡の二会場で開かれます。
2019年1月末の福岡・九州国立博物館での開幕に先駆けて東京・サントリー美術館で現在開催中の本展の模様をイチオシ作品とあわせてご紹介いたします。
展示室に入ってすぐに目に入る《如意輪観音坐像》(平安時代)は何とも優しい表情です。片膝を立てて、頬に手を添え「これからどのように人々を救おうか考えている」というその様子は大変美しく、心奪われます。
360度鑑賞でき、展示室内で燦然と輝いています。
密教の仏の姿とされる「五大明王」は平安時代の彫刻と鎌倉時代の絵画が一斉に展示されていて、彫刻と絵画を見比べることができます。
特徴ある大きく目を見開いた顔立ちは、魔を退け、煩悩を断つ霊力を表現するためだそうです。複数の手に弓、剣など様々な武器をもっており、力強いポーズも様々で人間大の尊像の細部まで観察していくとおもしろいです。
福岡展の印刷物のメインビジュアルとなっている国宝《薬師如来および両脇侍像》は、平安時代に造られた当時の姿を今に伝えています。長い歴史の中で多くの方の願いや祈りを一身に受け止めているような力強い雰囲気があり台座も入れると3メートル超、その空間を支配しています。あまりの迫力に自分のいる場所や時間も忘れて思わず見惚れてしまいます。
醍醐寺といえば、安土桃山時代に豊臣秀吉が最晩年に催した「醍醐の花見」も有名です。秀吉は畿内から700本の桜を移植して、盛大な宴を開きました。
秀吉らしい金の天目茶碗や俵屋宗達による屏風など、醍醐寺をめぐる華やかな近世美術も見どころです。
数々の戦乱に巻き込まれながらも、平安時代から現在まで多くの資料が良好な状態で管理、保存されていることには驚くばかりです。通常は公開されていない貴重な資料とともに、開創以来護り伝えられてきた醍醐寺の変遷を辿りながら楽しめます。
今回の醍醐寺展は東京と福岡の2会場で開催され、東京会場では仏画や襖絵などの近代絵画の名品が、福岡会場では大型の仏像彫刻や大型の仏画などが会場限定で展示されます。
そして、展覧会でもう一つの楽しみでもある音声ガイドですが、通常の解説に加え、本展仏像大使のみうらじゅんさん(イラストレーター)と、いとうせいこうさん(作家・クリエーター)による「仏像大使スペシャルトラック」が入っています。
お二人の独特な掛け合いに展示室内でくすりとニヤけてしまいます。
音声ガイド(1台550円)も是非聞いてみて下さいね。
「京都・醍醐寺 -真言密教の宇宙-」は東京・サントリー美術館で11月11日まで開催中。そして来春1月29日(火)から3月24日(日)まで九州国立博物館に巡回されます。美の醍醐味をご堪能ください。
展覧会公式ホームページ
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