藤子不二雄(A)展
ー(A)の変コレクションー
2019/07/27(土) 〜 2019/08/18(日)
10:00 〜 18:00
西鉄ホール
大迫章代 2019/08/08 |
「忍者ハットリくん」「怪物くん」「笑ゥせぇるすまん」など、子供から大人まで、その作品を見たり読んだりしたことがない人はいないと言い切っても過言ではないほど数々の名作漫画を送り出してきた、マンガ界の生きるレジェンド、藤子不二雄Ⓐ氏。西鉄ホールで8月18日(日)まで開催されている「藤子不二雄Ⓐ展 ーⒶの変コレクションー」は、氏のバラエティ豊かな創作世界にふれることができる、全展示撮影OKの展覧会だ。この展覧会のレポートと、内覧会のため福岡を訪れた同氏のインタビューを2回に分けてお届け。
入ってすぐのところにあるのが、「笑ゥせぇるすまん」の「Bar 魔の巣」。「笑ゥせぇるすまん」は、ご存知、日本漫画界に“ブラックユーモア”という新ジャンルを切り開いた藤子不二雄Ⓐ氏の代表作。不気味な笑顔を浮かべる喪黒 福造(もぐろ ふくぞう)に見守られつつ、いざ、藤子不二雄Ⓐ氏の「変」ワールドへ。
最初の展示[トキワ荘ゾーン]では、藤子不二雄Ⓐ氏が上京して間もないころの部屋を完全再現。ご存知の方も多いと思うが、トキワ荘とは、手塚治虫が入居していたことから、彼を慕う藤子不二雄(藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐ)、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら、戦後の日本漫画界を牽引する漫画家が次々と入居し、創作活動を行っていたことで知られる“漫画の聖地”とも言える木造アパート。藤子不二雄Ⓐ氏は相棒、藤子・F・不二雄氏と共に、1954~61(昭和29~36)年までここに入居していた。壁には、当時の貴重な写真や、いまはなきトキワ荘の壁に書かれた二人のサインも展示されている。
ここから藤子不二雄Ⓐ氏の作品世界をより深く楽しむために、藤子Ⓐ氏に関する基礎知識を簡単におさらい。藤子Ⓐ氏は、富山県の高校時代に同級生、藤子・F・不二雄氏と1951年にコンビを結成し、上京。コンビを解消する1987年まで、藤子不二雄名義で作品を発表していた。当初は、同じ作品を共同執筆していたが、やがてそれぞれのカラーを尊重し、個別に漫画を描いては、藤子不二雄として発表していたそう。ちなみに2人の最後の共同執筆作品は「オバケのQ太郎」。その後、藤子・F・不二雄氏が「ドラえもん」や「パーマン」、藤子不二雄Ⓐ氏が、「忍者ハットリくん」や「怪物くん」などを生み出した。藤子不二雄作品は、子供向けから大人向けまで、幅広くてバラエティ豊かだとは思っていたが、その多彩さ、そして不条理でブラックな辛口の世界観を多くつくり出していたのは、藤子不二雄Ⓐ氏だったのだ。
それでは、さっそく具体的な展示を通してその作品世界を見ていこう。
[ポップゾーン]では、コメディ&スポ―ツジャンルの代表作「怪物くん」「忍者ハットリくん」「プロゴルファー猿」を通して、藤子不二雄Ⓐ氏の「明るい」漫画世界が楽しめる。
次に、藤子Ⓐ氏のレジェンドたるゆえんがよく分かるのが[ブラックユーモアゾーン]。「笑ゥせぇるすまん」「黒ベエ」「魔太郎がくる!!」など、そのダークで不条理なブラックユーモアのセンスは、時代を超えても古びない斬新さ。その代表作のワンシーンが、壁一面にずらり。貴重な短編集の原画も飾られていて、1つ1つ、じっくり読み込みたくなる
[Ⓐの変コレクション]では、藤子不二雄Ⓐ氏が集めた骨とう品など、作品にも登場する「変」なアイテムの数々や、貴重なスケッチ、キャラクターグッズなどを紹介。造形家・竹谷隆之氏デザインの「シルバークロス」の衣装や、影絵作家・河野里美氏によるカラフルなコラボ影絵作品も展示されている。
最後は、本展覧会のスペシャルショップ「怪奇や」で展覧会限定グッズをチェック。キャラを織り込んだ九谷焼の豆皿や、インパクト大な「魔太郎がくる!!」のスケートボードなど、奇妙なコレクションがそろっているので、見ているだけでも楽しめる。
画像はすべて、ⓒ藤子スタジオ。
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