日中文化交流協定締結40周年記念
特別展「三国志」
2019/10/01(火) 〜 2020/01/05(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
2019/12/01 |
来年1月5日(日)まで、福岡県太宰府市で開催中の特別展「三国志」。小説や漫画、ゲームなどにもなった「三国志」の世界は、時代を超えて多くの人に親しまれてきた。立命館アジア太平洋大(APU、大分県別府市)学長で、ライフネット生命創業者の出口治明さんもファンの一人。歴史好きで知られ、歴史関係の著作も多い出口さんに三国志の魅力、展覧会の見どころなどを聞いた。
周瑜は孫権の兄、孫策と子どもの頃からの友人で仲が良かった。こんなエピソードがある。当時「二喬」と呼ばれる姉妹がいた。姉は大喬、妹は小喬で、絶世の美女だった。呉はこの2人を捕虜にし、孫策が大喬、周瑜が小喬を妻にしている。それほど深い友人関係だった。周瑜は頭が切れ、孫策から頼りにされた。2人は助け合って呉の礎を築いてきた。
有名な「赤壁の戦い」(208年)でも大活躍している。曹操軍に対し、孫権は降伏を考えたが、周瑜はやり方次第で勝てると進言した。展示されている「弩」のような兵器も使われたのだろう。火攻めで打ち破ったと言われているが、実際は曹操軍側に疫病が蔓延して敗退したのが歴史的な真実のようだ。この戦いで曹操による中国統一の夢が絶たれた。それが魏、呉、蜀の鼎立につながる。周瑜こそが三国時代を切り開いたと言える。
孫策、孫権の下で周瑜は若い時から人の上に立った。「なぜあの小僧が」と思う年上の武将がいっぱいいたはず。それでも立場が上であることを誇示せず、みんなが周瑜の人格と能力を認めるようになった。上司は偉いわけではなく「機能」である。年若くても状況を適切に判断し、指示を与えられるかどうかが重要。現代はますます年功が関係なくなってきた。そんな「年齢フリー」を地で行く若い宰相が周瑜だった。
「平家物語」がなければ、源平の戦いはここまで語り継がれなかった。「太平記」があるから楠木正成が有名になった。三国志の人気も「三国志演義」という大衆小説が生まれたからというのが大きい。その中には、周瑜も含めて尖った個性のある人が多い。そこにみんなが魅力を感じているのだと思う。=11月21日西日本新聞朝刊に掲載=
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