明治150年記念 特別展
オークラコレクション
-古今の美を収集した、大倉父子の夢-
2018/10/02(火) 〜 2018/12/09(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
木下貴子 2018/10/30 |
この秋注目の、九州国立博物館にて開催中の展覧会「オークラコレクション」(12月9日(日)まで)の魅力や見どころを、3回にわたってお伝えするレポート記事。第2弾の今回は、会場レポートをお届けします。
明治150年を記念して開催されている本特別展は、大実業家の大倉喜八郎・喜七郎親子が収集した珠玉の美術コレクションから、国宝3件を含む約110件が展示される展覧会です。先日、特別講演会をなさった九州国立博物館主任学芸員の山下善也氏も「時代は平安から鎌倉時代、近代まで。分野は、絵画、書籍各種の工芸と多岐にわたり、その幅の広さと質の高さには驚くべきものがあります。展覧会場を歩けば、自ずと日本美術の軌跡を巡れる王道の内容といっていいのではないかと思います」と熱弁をふるっていました。期待に胸ふくらませ、本展の目玉の1つ横山大観筆《夜桜》がメインヴィジュアルになった入口を抜けました。
そうそう忘れてはならないのが、音声ガイドです。本展のナビゲーターは中村獅童さん。歌舞伎役者ならではの巧みな言葉づかい、美声を聞き逃すわけにはまいりますまい。今回は音声ガイドを装着して会場を回ることにしました。
そう判断した自分、グッジョブ!です。会場入ってすぐのガイド番号「1」の作品から、すでに獅童氏、本領発揮。《仏涅槃図》にまつわるエピソードとして、かの福沢諭吉先生と大倉喜八郎氏の会話を、獅童氏が声色を変えて再現しているのですが、これが素晴らしく。耳福で、つい顔がゆるみます。
聴き惚れていてはいけません。気持ちを新たに、作品を見ていくことにいたしましょう。本展は「日本美術の王道」「アジアに開いた眼」「日本から世界へ」の3章に分かれ、なかでも第1章「日本美術の王道」は展示会場の以上のスペースを占め、6つのコーナーで構成されています。
「祈りのかたち」「国宝の輝き」「やまと絵から琳派へ」の3コーナーからなる最初の展示室では、中央に展示された国宝《普賢菩薩騎像》が静かに、しかし堂々と威厳を放っていました(作品保護のため展示期間は10月2日~21日のみ。残念ながら、現在はみることができません)。
同展示室「やまと絵から琳派へ」のコーナーで、山下研究員がその色遣いを絶賛していた《五節句図》を発見! 確かに、浅葱色のような夏虫色のような、なんともいえない菖蒲の色合いなど見事としか言いようがありません。
江戸中期の人気画家・英一蝶による《雑画帖》もありました。大名がらみのスキャンダルで伊豆三宅島に配流される以前の作品で、さまざまな主題が揃います。本展では36面のうち12面を、前後期6面ずつ展示されています。
でました! 本展の注目作品の一つ狩野探幽筆《鵜飼図屏風》です。
非常にきらびやかであり、山の稜線、色合いなどとても美しく描かれています。
山下研究員の指南にそって目を凝らしてみると……。見えました! わずか1センチ足らずで描かれた水中の鮎や鮒が!
山下研究員いわく「鵜が“うっ”となった」場面も。
お弁当箱の朱色が鮮やか、そして美味しそう。このように、細部まで見ていくととてもおもしろいですね。
《鵜飼図屏風》の隣に展示される《柳に野鳥図屏風》。これまた山下研究員の受け売りですが、よくみると上部が継ぎ足されているのが分かります。屏風を立てる部屋にあわせて、当時は屏風のサイズを変えることがままあったといいます。会場でこの作品をご覧になる際は、どうぞ、上部がなかったように想像しながらご覧ください。山下研究員いわく「バランスが引きしまって見えます」。
近世絵画が中心の第1章ですが、最後の「日本工芸の美」のコーナーでは、刀、能面、染織などの工芸が展示されていました。
こちら、なんだと思います? 虫や動物を写実的に表した置物で、鉄や銅でできています。太平の世になり仕事が減った甲冑師が手掛けたものが多いといいます。体や手足を本来の機能どおりに動かすことを追求し、とても精巧にできています。
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