六郷満山開山1300年記念[文化交流展特別展示]大分県国東宇佐
六郷満山(ろくごうまんざん)展
~神と仏と鬼の郷~
2017/09/13(水) 〜 2017/11/05(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
宮本喜代美 2017/09/13 |
9/13(水)から九州国立博物館で行われる『大分県国東宇佐 六郷満山展 〜神と仏と鬼の郷〜』。その開催にあたり、国東宇佐の魅力を伝えるべく、わたくし宮本喜代美は、カメラマンの川上氏と旅をしてきた。第1回目は六郷満山文化はじまりの地である宇佐神宮へ。
宇佐神宮は、全国に4万社余りある八幡社の総本宮。宗廟として皇室からも崇敬されており、10年に一度、天皇の使者が訪れる勅祭が行われるなど、霊験あらたかな神社である。
宇佐神宮はとにかく広い。そして空気がおいしい。掃き清められた境内は清浄な空気に満ちていて、神様の棲まう場所であることが肌で感じられるよう。おじゃまします、と心の中でちいさく唱え、参道の奥へと進む。
本殿のある上宮へと至る石畳の参道。イチイガシとクスノキが自然のままに生い茂る常緑広葉樹林で、国指定の天然記念物。木もれ日が神々しい。
そして上宮へ。国宝に指定されている本殿、その一之御殿には、第15代天皇・応神天皇の御神霊である八幡大神が祀られている。この八幡大神の生まれ変わりとされる仁聞菩薩が、奈良時代の718年に国東半島各地に28の寺院を開基したことにより、〝神を仏とし、仏を神とする〟神仏習合の独特な仏教文化「六郷満山文化」が開花した。
そもそも宇佐神宮では八幡大神(神)=八幡大菩薩(仏)と考えられていたため、神仏習合でお祀りするのはごく自然なこと。境内に神宮寺である弥勒寺を建てるなど、いち早く仏教を取り入れ、神仏習合文化を成立させたという。
ところで。明治以降は神仏判然令により神仏分離となったが、それ以前の日本人は1000年以上も神仏習合をあたりまえに生きてきた。現在、多くの日本人がハロウィンやクリスマスを楽しみ、大晦日はお寺で除夜の鐘を聞き、お正月は神社へ初詣に行くといった精神的神仏習合ぶりを発揮しているのは、DNAの成せる技なのだろうか。
今回ご案内くださった宇佐神宮の権禰宜・丸山信一氏に尋ねたところ、「自由に楽しむ分にはそれでいいと思いますよ(にっこり)。ただ神社とお寺では役割が異なります。神社は穢れを祓う場所。穢れとは気枯れ=心がしぼんだ状態を指します。心機一転したい時などに神様をお参りされるといいんですよ」と丸山氏。心がしぼんだら神様にお参り。弱った時や元気を出したい時、真っ先に思い出したい言葉である。
宇佐神宮の正しい参拝作法は二拝四拍手一拝。まずは手水舎で手と口をすすいで身を清め、本殿向かって左の一之御殿、比売大神を祀る中央の二之御殿、神功皇后を祀る右の三之御殿、と順にお参りしよう。上宮だけでなく、下宮も必ずお参りすべし。深緑の杜に抱かれた静謐な境内をゆったり歩き、上宮、下宮とお参りすれば、おのずと清々しい心地になるだろう。
境内の西側に保存されている弥勒寺跡の遺構では、柱を支えた礎石を見ることができる。また発掘調査により、弥勒寺は金堂の前面に東塔と西塔を並べた、奈良の薬師寺と同様の配置であったことが確認されているという。『大分県国東宇佐 六郷満山展 〜神と仏と鬼の郷〜』では、弥勒寺跡から出土した鬼瓦など貴重な史料が展示されるのでお見逃しなく。
ちなみに宇佐は「からあげ専門店発祥の地」であり、からあげのみを販売する店が30以上もある激戦区。中でも人気の「からあげ太閤」は、醤油ベースの秘伝のタレがあと引く味わい。良質な九州産ハーブ鶏をはじめ厳選素材を使用したからあげは、一口噛むとじゅわっと肉汁があふれ出す。おすすめは、骨なしモモ、砂ずり、手羽先。
次回いよいよ〝神と仏と鬼〟が棲まう国東半島へ。
9月下旬頃にUPの予定です。お楽しみに。
この記事に関連するイベント
大分県国東宇佐 六郷満山展 ~神と仏と鬼の郷~
2017/9/13(水)〜11/5(日)
@九州国立博物館
<関連イベント>
国東宇佐六郷満山開山1300年記念イべント1300年の祈り
迫力の映像で、六郷満山文化霊場お遍路の旅を疑似体験できる。国東半島・宇佐地域物産展も同時開催。
2017/9/13(水)〜9/24(日)
@九州国立博物館1階ミュージアムホール
*9/13は先着200名に六郷満山霊場特別朱印帳の無料配布も!
<宇佐神宮の本殿特別拝観やライトアップも!>
国東半島宇佐地域六郷満山開山1300年プレイベント
非公開文化財特別公開ライトアップイベント
2017/10月〜12月
*「非公開文化財特別公開」と「ライトアップ&特別イベント」は公開寺院等により日時が異なる
宮本喜代美(みやもと・きよみ)
企画/編集/原稿書き
1969年奈良県奈良市生まれ。1991年、沖縄在住時に旅行情報誌のライターとなる。1993年に来福、シティ情報ふくおか編集部を経て1996年フリーランスに。現在は九州の旅行・観光にまつわる企画・編集・執筆業務を行うほか、情報発信を軸とした地域活性のアドバイザーなども務める。山や海など、風通しの良い場所をこよなく愛する自然派。せつない曲ばかりをかける音楽イベント「セツ☆NIGHT」
川上信也(かわかみ・しんや)
フォトグラファー
1971年愛媛県松山市生まれ。福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。その後福岡を拠点にプロ活動を開始し、様々な雑誌撮影に関わり風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行っている。ライフワークとして九州の自然風景を撮り続けており、定期的に写真集を出版し、写真展やトークショーを開催している。
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福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2024/10/31(木) 〜 2024/11/25(月)
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つなぎ美術館
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