ライデン国立古代博物館所蔵
古代エジプト展
2022/03/12(土) 〜 2022/06/19(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
2022/05/24 |
暗い館内に入ると、数千年の時空を一気に超える。石碑やパピルス(紙)に描かれた古代の人たち。耳を澄ませば息遣いまで聞こえてきそうだ。
古代エジプト文明の研究の歩みと最新の調査成果を紹介する「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が、福岡市早良区百道浜の市博物館で開かれている。
オランダのこの博物館は、世界有数のエジプトコレクションで知られる。長年、発掘調査に取り組む一方、最新技術を使った研究も進め、ミイラの布をほどかずに高解像度のCTスキャンで解析する。
そのデータを基にした3D動画は見ものだ。骨や皮膚までリアルに再現されている。目の前のミイラは2800年ほど前のもの。推定40~52歳の女性で病気の痕らしきものがあると言われれば、同年代の私はとても人ごととは思えない。
彼女も体さえ残れば魂は戻ってこられると信じ、未来を見つめてこの世を去ったのだろうか。40年以上続く長編漫画「王家の紋章」を思い出す。現代の女性が3千年前の古代エジプト、新王国時代にタイムスリップする。物語には死んでも愛する人と永遠にいたいという思いがあふれている。
12点の棺(ひつぎ)が立った状態で見られるのも興味深い。一対一で向き合えるからか、棺の内外に描かれた絵や文字からは、来世への願いがひしひしと伝わってくる。時を超え、海を越え、私たちは「永遠の命」に出合っている。(文・酒匂純子、写真・瀬戸正直)
=(5月19日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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