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ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎 <1>   叙情と幻想の好対照 久留米市美術館【コラム】

2022/12/14 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
青木繁「海の幸」(1904年、石橋財団アーティゾン美術館蔵)
坂本繁二郎「水より上る馬」(1953年、株式会社鉃鋼ビルディング蔵)

 男らのみなぎる生命力を叙情的に描いた青木繁(1882~1911)の「海の幸」(国重要文化財)。馬の動きを淡く柔らかな色彩で幻想的に仕上げた坂本繁二郎(1882~1969)の「水より上る馬」。同じ年に久留米で生まれ、同じ画塾で学んだ2人の代表作の印象は対照的だ。

 「海の幸」は青木が22歳の頃、坂本らと写生旅行で訪れた千葉の布良海岸を描いた。裸体の老人や若者が、サメを担いで闊歩(かっぽ)する原始的な姿からは、生を謳歌(おうか)する力強さがほとばしる。

 驚くことに青木は、大漁に沸く現場を見ていない。たまたま目撃した坂本から話を聞いて筆を走らせ、未完成だと思われる時点で筆を置いた。見る者に解釈を委ねる意図か。この6年半後、青木は28歳で夭逝(ようせい)しており真相は不明だ。

 「水より上る馬」は、坂本が1937年に二科展に出品した同名の油彩画を描き直し、71歳で発表した。淡い色彩の馬と背景は混じり合い、一続きの線は存在しない。夢の中に引き込まれるような感覚になる。

 明るく抽象度の高い表現は、42歳まで3年間留学したフランスで得た。帰国後に主題とした馬の多くは神秘的な美しさをまとう。渡仏前によく描いた牛の絵にはない独自の画風に開眼した坂本は、87歳で亡くなるまで制作に没頭し続けた。

 早世の天才青木。晩成の巨匠坂本。それぞれの画風を追い求めた2人の“旅”は時に交わり、近代美術史にその名を刻んでいく。

  ◇   ◇
 来年1月22日まで久留米市美術館で開催中の「生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎」(西日本新聞社など主催)は2人の特徴と関係性を示す作品を中心に、それぞれの生涯をたどる構成だ。2人展は意外に少なく、66年ぶり。作品を並べることで伝わる魅力を紹介する。(木村知寛が担当します)

=(12月14日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎 来年1月22日まで、久留米市野中町の市美術館=0942(39)1131。西日本新聞社など主催。一般1000円、65歳以上700円、大学生500円。高校生以下無料。

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