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ジブリの大博覧会 ナウシカの世界8メートル王蟲 「腐海」の生物リアルに【コラム】

2019/04/11 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

福岡市博物館で開催中の「ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~」には、今回初めて公開された目玉展示がある。映画「風の谷のナウシカ」に登場する猛毒の生態系「腐海(ふかい)」をイメージしたコーナーだ。薄暗い部屋に一歩踏み込むと巨大なダンゴムシのような「王蟲(オーム)」など腐海の奇怪な生物たちが迫ってきて、ナウシカの世界に迷い込んだ気分になる。

腐海の主とされる王蟲。脱皮を繰り返して成長し、怒ると目がルビーのように赤くなる

腐海とは、未来の最終戦争で滅亡した都市の跡に出現した人の住めない森。猛毒を噴き出す巨大なキノコに似た「ムシゴヤシ」などに覆われ、ガスマスクなしでは踏み込めない。生息しているのは昆虫が巨大化したような「蟲(むし)」たちだ。
その代表がコーナー中央の王蟲。全長約8・5メートル、高さ約3・8メートル。とげのある硬い殻で覆われた体にドーム状の14の目が光る。高い知能を持ち、目が青から赤に変わると怒りのサインだ。
「蟲の中で最も強く、物語の鍵を握る存在」。制作した造形家の竹谷隆之さんは、展示のメインにした理由をそう語る。木や鉄で骨格を組み、繊維強化プラスチック(FRP)のボディを作るのに8カ月かかった。とがった脚、無数の突起。細部までリアルだ。

造形家の竹谷隆之さん
赤い複眼が頭に並ぶウシアブ。名前の通り牛ほどの大きさになる

周りの蟲もすごい。ムカデに羽が生えたようなヘビケラは紫の体を絡ませ合い、鉄を砕く歯を持つウシアブがこちらを威嚇する。文書やポスターが多い博覧会で異質の展示。「人間がいてはいけない世界を作りたかった」。ムードを高めるため、「最初は入場者にマスクを配ろうかと思った」と竹谷さんは笑う。

ヘビケラは4枚の羽で空を飛び、人を襲うこともある
腐海に生えるムシゴヤシ。猛毒の「瘴気(しょうき)」を空気中に噴き出す

恐ろしげな王蟲にヘビケラ、かわいいトトロにポニョ。宮崎駿監督の描くキャラクターのタイプはさまざまでとてもユニークだ。一体どうやって思いつくのか。ジブリの代表取締役プロデューサー、鈴木敏夫さんが14日の開会式で秘密の一端を明かしてくれた。
「ナウシカの舞台のモデルは実は(鹿児島県の)屋久島。宮崎監督はあそこを歩き回って王蟲を思いついたんです」

ヘビケラの幼虫ミノネズミ。原作では1メートルほどの太ったイモムシだが、展示は恐ろしい


アイデアの源泉は徹底した自然観察だった。コーナーの最後に飾られた昆虫の大きな写真パネルを見ると、蟲たちとの相似性がはっきりする。だからこそ生まれるリアリティー。東京大学名誉教授で解剖学者の養老孟司さんは「嘘だけれど『ニセモノ』ではない」と評した。その魅力を会場で確かめてほしい。(文・三村龍一、写真・古賀亜矢子)=3月21日 西日本新聞朝刊に掲載=

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