九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  コラム ›  「流水梅柳文蒔絵螺鈿鏡箱」(鎌倉時代) 暗示する和歌の情景 再見 ザ・ベスト 福岡市美術館<下>【コラム】

「流水梅柳文蒔絵螺鈿鏡箱」(鎌倉時代) 暗示する和歌の情景 再見 ザ・ベスト 福岡市美術館<下>【コラム】

2019/05/14 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
「流水梅柳文蒔絵螺鈿鏡箱」(鎌倉時代)

鎌倉時代に制作された鏡を入れるための箱です。金の粉をふんだんに振りちらし、ふたの表面には螺鈿(らでん)(青貝からとった真珠色の材料による装飾技法)によって水流や木々が華やかに描かれています。木々は左右に梅と柳が配置されていますが、よく見ると、枝や葉の形の中に「春」「堂」「川」「東」「伊」と読める5文字が巧妙にちりばめられているのが分かります。
このような絵は、葦手絵(あしでえ)と呼ばれる謎絵の一種で、平安時代より貴族の間で好まれました。例えばある既成の和歌の情景を、絵と隠し文字により暗示します。見る人は、知識と教養が試されることに。「ほほぅ、なるほど、あの歌ですナ」とほほ笑むことができるか、「うぅっ、わかりませぬ……」とうなだれるしかないのか。想像するほどに恐ろしく高尚な遊びです。華麗な装飾に目を奪われている場合ではないかも。
この鏡箱にも、ある和歌が表現されているようです。答えは? 確定的なことは言えませんが、ある平安時代の有名な歌人の作品、それも春を思って詠んだ歌を題材にした可能性が高いようです。詳しくは展示室でお確かめください。 (学芸員 後藤恒)=4月25日 西日本新聞朝刊に掲載=

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini 2b7a4eaf87

第35回九州産業大学美術館所蔵品+展 「巴里、ルオー、ザッキン。」関連イベント
アート・トーク「モンパルナスのエコール・ド・パリ」

2025/04/25(金)
九州産業大学15号館101教室

Thumb mini a472c18760

とりごえまり『名なしのこねこ』(アリス館刊)原画展

2025/04/05(土) 〜 2025/04/27(日)
合同会社書肆吾輩堂

Thumb mini 199fb1a74c

挂甲の武人 国宝指定50周年記念/九州国立博物館開館20周年記念/放送100年/朝日新聞西部本社発刊90周年記念
特別展「はにわ」

2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館

Thumb mini fbef5d2295

映画「美術之鬼」完成披露上映会

2025/04/27(日)
北九州市立美術館 レクチャールーム

Thumb mini b371d37bba

吉田ヂロウ個展「グラファイト・ヴィジョンズ・アット・ハウス」

2025/04/23(水) 〜 2025/05/03(土)
HOUSE

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini 449b48e584
コラム

伊藤高志さんと新しい映画(人)〔寄稿:福岡市総合図書館フィルムアーカイヴ 学芸員・杉原永純〕

Thumb mini 7405761711
コラム

【コラム】画商・洲之内の眼 宮城県美コレクション展から<4完>先駆者 広がり、響きあう作品群

Thumb mini 4da6ec0a05
コラム

【コラム】画商・洲之内の眼 宮城県美コレクション展から<3>画家の才 「選ばれた者の恍惚と不安」

Thumb mini 5ffb7cf869
コラム

【コラム】画商・洲之内の眼 宮城県美コレクション展から<2>執心 「盗んでも自分のものに」

Thumb mini d3b25b4b32
コラム

【コラム】画商・洲之内の眼 宮城県美コレクション展から<1>幸せな猫 「いつまでも持っている」

特集記事をもっと見る