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【インタビュー】進化する絵画表現/“引き算の美学”に迫るーー画家・三津木晶さんインタビュー

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西山 健太郎
2017/05/10
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近年、国内外のアートフェアで高い評価を得ている若手作家の一人、三津木晶さん。福岡市・けやき通りのGALLERY MORYTA(ギャラリーモリタ)にて個展を開催中(~5/14)の三津木さんにその作品や制作にかける思いについてお話を伺った

Q.三津木さんが絵を描き始めたきっかけを教えていただけますか?

芸術を愛する母親の影響が大きいと思います。幼いころから母の描く姿、音楽を楽しむ様子を間近で感じたり、一緒に絵を描いたり、美術館やギャラリーに展覧会に足を運んだりしていましたから。

 

Q.ご実家にはたくさんの絵画が飾ってあるそうですね。

そうですね。母の絵や私の幼い頃の絵、母の好きな作品、そしてもちろん私の好きな作品も。「小中学生の頃までに美術館やギャラリーで絵に触れたことがない人は一生、それらの場所を訪れる習慣が身につかない」という話を聞いたことがあります。そういった意味では、私は幼いころから恵まれた環境に囲まれていたと思いますね。

 

Q.三津木さんご自身がほかの作家の作品を購入することもあるのですか?

はい。「自分がいいと感じる作品を身近に置いていないと、いい作品はつくれない」と思っています。自分が描きたい質感や肌合いを探るために、手元に置いている作品を参考にする、あるいは参考にしたい作品を購入して手元に置く、ということを学生時代から意識してやってきました。作品というのは絵画に限らず、彫刻、陶器、拾った貝殻や石、花びらなんかも含まれますね。

 

Q.すごいですね、並々ならぬ心がけだと思います。それでは次に、三津木さんの作品についてお聞きしたいと思いますが、今回の個展の作品を拝見すると、すごく魅惑的な雰囲気を漂わせていますよね。いい意味で、作家が男性なのか女性なのか、年齢は何歳なのか、まったくわからない。だからこそ、見る人によってとらえ方が様々で想像力が広がっていくような表現だと思います。いつごろ、この手法にたどり着いたのですか?

2年ほど前でしょうか。ある制作中の作品があり、一時期その作品から離れることになりました。再びそのキャンバスに向き合った時に、ふと、昔の絵、すなわち塗り重ねられた下の層に描いた情景を再び見てみたい、と思ったのです。最初はペインティングナイフで削ったり、引っかいたりして、上塗りした絵具をはがすことを試してみましたが、思うように行かず、試行錯誤の末に辿り着いたのが、テレピン油で表面の絵具を溶かしながら下地を見せていく手法でした。

 

Q.なるほど、まさに“引き算の美学”ですね。

自分では意識したことはありませんでしたが、そういう言い方もできますね。

 

Q.話は変わりますが、先日は、けやき通りの6ギャラリーを会場として開催されたアート&ワインイベント「ギャラリー梯子酒」(※2017年4月15日開催)にも参加されたそうですね。

今回で4回目になるそうですが、素晴らしい企画だと思いました。私はこのギャラリーで200名を超えるお客様をお迎えしたのですが、参加者の皆さんがこの空間を作品と共に楽しむ姿が印象的でした。それだけでなく、私の作品について興味をもっていただき、作家の私にとっても大変貴重な時間となりました。私自身、このような経験は初めてで、アーティストと市民の皆さんとの架け橋になっているイベントだと思いました。ぜひ、これからも続けていただき、福岡のアートファンを増やしていってほしいですね。

 

Q.最後に、今後の作品制作に向けての思いをお聞かせいただけますか?

自然の光は身のまわりにあるものに様々な変化を与えます。その様子を描いていると、まるで光と会話をしているような気持ちになります。そうした“光のメッセージ”を受け取り、作品を通して伝えていくこと。それが私の役割だと思っています。

 

三津木さんの今後のさらなる“進化”に期待しています。

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