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「マーベル展」の見どころを映画ファン的視点でレポート!!【レポート】

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大迫章代
2017/09/04
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アベンジャーズやスパイダーマンなど、マーベルの人気作品とヒーローたちの日本初公開となる貴重な資料や小道具など約200点が展示されている「マーベル展 時代が創造したヒーローの世界」。福岡アジア美術館で8月26日(土)から始まった展示を、さっそく見に行ってきた。

会場の入り口横にはキャプテン・アメリカのコミック版パネル。当然、記念に写真を撮りますね。

会場を訪れたのが夏休み最後の日曜というのもあるが、会場は思った以上の混み具合。20代のカップルからファミリー層、50代、60代の男性方まで、驚くほど広い客層だ。
かつてタウン誌の編集部で映画担当をしていたころ、配給会社の宣伝担当が「アメコミものの映画は日本ではあまりヒットしない」と言っていたのが嘘のよう。
一体、この20年ほどで、マーベルに、そしてアメコミ映画に何が起こったのか?そんな映画ファン的視点で「マーベル展」をリポートしてみる。

 

マーベルの転機となった映画『アイアンマン』

展覧会場に入ってすぐに並んでいる歴代のアイアンマンのスーツ。おそらくマーベルだけでなく、アメコミ映画自体の流れを変える大きな転機となったのはこのヒーローだ。

右からマークⅠ、マークⅡ、マークⅢ、マークⅦ。うれしいことに撮影OK。

2008年に公開された映画『アイアンマン』は、いろんな意味で画期的な作品だった。主人公は、大手軍事会社の社長で、根っから奔放な天才科学者トニー・スターク。先天的、あるは後天的にスーパーパワーを手にしたヒーローと違い、スタークは豊富な資金と科学技術で開発したパワード・スーツに身を包み戦うハイテク・ヒーローだ。最先端の技術を駆使したスタイリッシュなバトルシーンと、スタークの飄々としたキャラがうけ世界中で大ヒット。日本でも、一般的には無名のアメコミ・ヒーローだったにも関わらず異例の大ヒットとなった。

『アイアンマン』は、マーベル人気を増大させる“マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)”の出発点でもある。そして、展覧会の『アイアンマン』制作秘話のVTRで知ったのだが、実はこの作品はマーベル倒産の危機を救った救世主でもあった。
『スパイダーマン』、『X-MEN』などの人気ヒーローの映画化権を、次々と別の会社に持って行かれ営業不振に陥ったマーベルが、なんとか資金を調達し、自社の映画部門(マーベル・スタジオ)で製作した映画第1弾が『アイアンマン』だったのだ。失敗したら一巻の終わりという状況で、主人公トニー・スターク役に抜擢されたのは、当時薬物問題で再起が危ぶまれていたロバート・ダウニー・Jr(当時43歳!)。周囲が猛反対する中、彼の演技力に一か八か賭けたマーベル・スタジオは、この映画から新たなマーベルの歴史を刻み始めたのだ。
ロバート・ダウニー・Jrファンとしては、心からマーベルに感謝したい。


ヒーローがヒーローを呼ぶ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)
 “マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)”ではアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーなど、マーベル・コミックで使われてきた手法と同様に、様々なヒーローたちがクロスオーバーする。マーベル人気をここまで大きくした要因は、間違いなくこの豪華ヒーロー共演を可能にしたクロスオーバーの仕組みにある。

アイアンマンの歴代スーツの隣で、ひと際すごい存在感を放っているハルク。
インクレティブル・ハルク』はMCUの第2作目こちらも撮影OK!

その後、マーベルは『アイアンマン2』 (2010年)、『マイティ・ソー』 (2011年)、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーズ』 (2011年)とMCUの単独ヒーロー映画を連発していくのだが、この時点では各作品それほどのヒットではなかったはずだ。だが、それも想定内。ひと通り主要ヒーローの紹介をしたところで、いよいよ『アベンジャーズ』(2012年)という大花火を打ち上げたのだ。

『アベンジャーズ』ヒーローがフィギュアで大集合!会場展示より。

『アイアンマン』が起承転結の“起”だとすると、『アベンジャーズ』は“承”。ここからMCUでのヒーローたちの本格的なクロスオーバーが始まった。

会場にはキャプテン・アメリカやマイティ・ソーなど、『アベンジャーズ』で再び注目を浴びた人気のヒーローたちの映画コスチュームや小道具も多数展示されている。

そしてマーベルを代表する大物ヒーロー、スパイダーマンも、『スパイダーマン:ホームカミング』で、ついにマーベルに帰って来た。

『スパイダーマン:ホームカミング』のスパイダーマン・スーツ。トニー・スタークがスパイダーマンこと15歳のピーターにプレゼントした超ハイテク・スーツです。

どうして今さらスパイダーマンまで?と驚くが、映画を観れば納得。これまでとはがらりと違うスパイダーマンの再起動に成功しているのだ。ヒーローは時代に合わせ変化し続けるからこそ、時代を超えて愛されるヒーローになる by マーベル。

また、新ヒーローと大物ヒーローをバランスよく配置し、各作品への関心をキープ。新キャラの認知度を上げつつ、次の単独作へつなぎ、各作品で次回作へのネタふりをしていく戦法。その巧みな連鎖が、現在の芋づる式なマーベル人気を支えているのだ。

 

続々公開されるMCU作品とヒーローたちを総括

そんなMCUの全貌を把握するには、3章のMARVEL×CINEMATIC UNIVERSEでMCU作品とヒーローたちをおさらい&予習するのがおすすめ。

MCUの全体像がパネルでまとめてあり分かりやすい。

参考までに現時点で、公開・製作が発表されているMCU作品は下記のとおり。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年11月3日公開予定)
『ブラックパンサー』(2018年2月全米公開予定)
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年4月27日公開予定)
なんとこちらはアメリカに先駆けての日本公開!
『アントマン&ワスプ』(2018年公開予定)
『キャプテン・マーベル』(2019年公開予定)
『アンタイトルド・アベンジャーズ(仮題)』(2019年公開予定)
『スパイダーマン/ホームカミング2』(2019年公開予定)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』3作目も製作予定。

MCUが変えたハリウッド・エンターテインメントの潮流
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の成功のおかげで、ハリウッドは今ちょっとしたヒーローのクロスオーバー流行りだ。
スーパーマン、バットマンを要するDCコミックでは、2013年『マン・オブ・スティール』を皮切りに“DCエクステンディド・ユニバース”を始動。2017年11月23日にはスーパーマン、バットマン、ワンダーガール、フラッシュといったヒーローチームが活躍する『ジャスティス・リーグ』を公開する。
さらに、ハリウッド大手、ユニバーサル・スタジオまで、1930~50年代の人気コンテンツだったモンスター映画のキャラクターを結集させるべく“ダーク・ユニバース”なる巨大プロジェクトを始動させた。トム・クルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』に続き、透明人間にジョニー・デップなど大物スターがキャスティング予定だ。

アメコミを世界的なカルチャーにしただけでなく、ハリウッドの映画のトレンドまでを変えてしまったマーベルの歴史と秘密をひも解く日本初の大型展覧会。日本の漫画カルチャーに似て非なる独特の世界観とアートワークをぜひ堪能いただきたい。

※画像すべて©2017MARVEL

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