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萩尾先生の声もあわせてお届け!「萩尾望都SF原画展」の見どころ【レポート】

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木下貴子
2018/04/14
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北九州市漫画ミュージアムにて5月20日(日)まで開催中の「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」のレポート第2弾は展覧会の見どころをご紹介。アルトネでは幸運にも萩尾望都先生の単独インタビューに成功! 萩尾ファンはもちろん漫画ファン、そしてアートファンも必読の先生のコメントとともに、展覧会の様子をお届けします。

レポート第1弾はこちら

前回も公言しましたが、筆者も萩尾作品の虜となった一ファンであります。胸の高まりを抑えつつ会場に向かうと……イキナリです。いきなりのっけから心が鷲掴みされました。入り口に名作『スター・レッド』の星(セイ)の大型パネルが! むろん秒速で記念撮影しました。

しかしこの時点で興奮しすぎては身がもちません。ひと呼吸して気持ちを鎮め、あらためて会場へと足を踏み入れました。

 

本展は、2016年に出版された書籍『萩尾望都SFアートワークス』がベースになっています。幅広いジャンルにわたって数々の名作を生み出してきた萩尾先生の作品から、SF作品に焦点を当て紹介されているのです。展示は1970年代のSF初期作品から始まります。

「CHAPTERⅠ 1970s SF初期」展示風景より。

 

1969年のデビュー直後からSFの小品を描いていた萩尾先生。竹宮恵子先生や大島弓子先生など同時期に人気を集めた漫画家らとともに1970年代の少女漫画黄金期を築き上げていく中で、1975年に発表された『11人いる!』は、従来の少女漫画では例をみない本格的SF作品として当時の漫画界に衝撃を与えました。ここでは不朽の名作『11人いる!』や『スター・レッド』を中心に、数々の1970年代の作品が登場します。

『11人いる!』の続編『東の地平 西の永遠』の扉絵や、『11人いる!』のプロット(左端)なども。

 

『11人いる!』が掲載された当時の漫画雑誌。

SF作品を描くだけでなく、他の漫画や小説も読みこむなどSFをこよなく愛する萩尾先生に、その魅力をお尋ねしたところ……「私たちがふだん生きていくなか、何となくここからここまでというように時間や場所の制限がありますが、SFはそれをとっぱらって非常に精神も肉体も自由に飛んで行けるところがあり、それが一番の魅力かと思います」と先生。「SFの場合、異世界とか他の惑星とか、超未来とか、宇宙人とかさまざまなものを描くことができます。他の方の作品を読んだときも、人間が考えることはこんなに多岐にわたっているのかという話がたくさんあってワクワクいたします」。

アルトネの単独インタビューに応える萩尾先生。

繊細で美しい絵はもちろんのこと、台詞一つひとつがとても意味深で、つい読みこんでしまいます。時に難解で簡単には読み進められず、また、その時々で受け止め方も変わってくるような台詞が作品の魅力を一層と深めます。「詩みたいなリズムのある言葉が好きなのと、またほかの詩人の詩でも文章でも読んでいて、あれ、これってもう一つ意味があるよねって後ろが読めるような、そういった文章や台詞が好きなので、自分もついついそういうものを書いてしまったりするんじゃないかと思います」。

『スター・レッド』の扉絵や原画

 

続く「CHAPTERⅡ」の展示は、70年代と80年代のコラボレーション。他の作家の小説を漫画化した作品や、挿絵やカバーイラストを提供した先生の作品が展示されています。

「CHAPTERⅡ 1970s・1980sコラボレーション」より。

ぜひチェックしてもらいたいのが、こちら。なんだと思います? 近づいてみると紙にはほとんど絵が描かれてなく、コマ割りと走り書きの台詞だけが描かれているのですが、なんとネームなんだそう! ネームって通常、絵まで描くものではないんでしょうか?「私の場合、ネームに写す前に全部頭の中で出来上がっていて、それを忘れないためにネームに起こすんですね。それを元にして、さらに大きな原稿に描いていきます」との驚きの発言が。「コマを取る段階では、もう絵が全部出来上がっています。このページに何コマ、このページでどう描くとか、ここらへんは2~3ページのエピソードとか、スケッチブックに全部描いてあるんです」。こういったところからも天才の片鱗がうかがえます。

通常、ネームは破棄してしまうという萩尾先生ですが、こちらの『百億の昼と千億の夜』(原作・光瀬龍)
のネームだけは保管していたとのこと。

1970~80年代に盛んに出版された、SF・ファンタジー系の文庫本に提供した、カバーイラストが並びます。「構図は小説を読んでからどのようなシーンの何を描くかイメージを固めます。印象に残るシーンやキャラクターの特性を生かせるようなイメージとかそういうものを」と萩尾先生。

「CHAPTERⅢ」では『銀の三角』や『マージナル』など、1980・1990年代の中期作品を、そして最後の「CHAPTERⅣ」では『バルバラ異界』といった2000年代の近作が紹介されます。全体を通して、約400点の原画をはじめ、カラーイラストレーション、関連資料など膨大な数の展示となっています。

「CHAPTERⅢ 1980s・1990s中期SF」より。

 

「CHAPTERⅢ 1980s・1990s中期SF」より。
「CHAPTERⅣ 2000s SF近作」より。

会場の出口には、ふたたび大型パネルが待ち構えていました。言うまでもありませんが、ここでももちろん記念撮影!

『百億の昼と千億の夜』の阿修羅王(左)と、『マージナル』第1話『迷い子』のキラ。

「宇宙の秘密はまだすべては解き明かされておらず、宇宙空間で起こるいろんな現象や星の動きとか時々ニュースになるのを見ると、不思議だなと本当に思います。科学なんですが、魔法にかけられているような気持ちになります。興味が尽きないですね」。

惑星や宇宙に魅入られた萩尾先生が描きだすSF世界が一同に集まった会場は、まさに宇宙的な煌めきと神秘的な世界感に満ちていました。「少女漫画の神様」と称される先生の偉業に囲まれた会場で、「萩尾系」の宇宙遊泳にどっぶりと浸れます。

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