九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  連載記事 ›  【連載】山出淳也 アート、まちに出る 6

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 6

Thumb micro 6f691dcb2f
山出淳也
2020/12/17
LINE はてなブックマーク facebook Twitter


大雑把なアートとデザインの違いについて

 仕事とは、誰かのための社会活動だと思っている。

 別の誰かが幸せになることで僕たちは充足感を得られ、経済が回っていく。とは言っても物が溢(あふ)れる現代、商品は簡単に売れてくれない。コンビニの棚には同じような品物が並ぶ。少しでも目に留まり、手にとってもらおうとパッケージのデザインを工夫する。時には有名な画家の絵を施し、付加価値によって差別化を図ろうとする。

 以前、日本を代表するデザイナーの一人、佐藤卓さんを取材した。卓さんは付加価値という言葉が嫌いで、事あるごとに付加価値撲滅運動を繰り広げている。

 そもそも良い商品と言われるものは、それ自体に価値がある。他とは違う工夫があったり、原材料にこだわっていたりする。物語もあるだろう。だから、自分がすべき事はそのものの本質的な価値を見つけ、消費者に分かりやすく伝えるお手伝いである―。そうおっしゃっていた。

 また、梅原真さんと言う方が高知に住んでいる。その土地ならではの風景を守るデザインを信条に丁寧な仕事を続けている。彼は「製造する人と消費する人の間に入り、コミュニケーションのパイプを太くすることがデザイナーの仕事」と語る。
2人にとってデザインの役割とは発見であり、翻訳なのだろう。その過程で整理や編集、表現といった技術が必要になる。これは「他者起点」の活動である。誰かを幸せにするために。

 かたや、アーティストは「自分起点」。少なくとも、作品をつくり始めた瞬間は、誰かに頼まれたわけではない。むしろ、僕は両親から「頼むからアートだけはやめてくれ」と何度も諭された。創造行為は、自分の内側の欲求から始まっている。気が付いたら絵を描いているとか、完成した姿をどうしても見たいとか、そういう衝動だ。

 そして今を生きるアーティストたちは少なからず、この時代に影響を受けている。彼らが目を背けずにはいられない、とても純粋な「なぜ」がアートという表現手段によって世界に放たれる。(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)

=(11月10日付西日本新聞朝刊に掲載)=

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini 08cc9399f0
終了間近

「御大典記念 特別展 よみがえる正倉院宝物 ―再現模造にみる天平の技―」関連イベント
リレー講座

2021/05/01(土) 〜 2021/05/15(土)
九州国立博物館

Thumb mini 72cd6e6d20
終了間近

TENJIN MATSURI
梅佳代「天神さま」 川島小鳥「ピンクの光線」

2021/03/20(土) 〜 2021/05/16(日)
三菱地所アルティアム

Thumb mini 129ba6517b
終了間近

防府市制施行85周年・山口放送開局65周年記念
ふわふわシナモロール展

2021/04/02(金) 〜 2021/05/16(日)
防府市地域交流センター(アスピラート)

Thumb mini aef64f49a9
終了間近

石田スイ展[東京喰種 ▶ JACKJEANNE]

2021/04/10(土) 〜 2021/05/16(日)
福岡アジア美術館

Thumb mini b1f64c0b16
終了間近

はこのふね
ユカワアツコ個展

2021/04/29(木) 〜 2021/05/16(日)
書肆 吾輩堂

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini 9bb31b0224
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 5

Thumb mini ee36ec9519
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 4

Thumb mini 5afd527a82
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 3

Thumb mini 2429b04d59
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 2

Thumb mini 97b7fd2ef4
ニュース

山出淳也さん連載「アート、まちに出る」スタート!【ニュース】

特集記事をもっと見る