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【連載】山出淳也 アート、まちに出る 6

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山出淳也
2020/12/17
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大雑把なアートとデザインの違いについて

 仕事とは、誰かのための社会活動だと思っている。

 別の誰かが幸せになることで僕たちは充足感を得られ、経済が回っていく。とは言っても物が溢(あふ)れる現代、商品は簡単に売れてくれない。コンビニの棚には同じような品物が並ぶ。少しでも目に留まり、手にとってもらおうとパッケージのデザインを工夫する。時には有名な画家の絵を施し、付加価値によって差別化を図ろうとする。

 以前、日本を代表するデザイナーの一人、佐藤卓さんを取材した。卓さんは付加価値という言葉が嫌いで、事あるごとに付加価値撲滅運動を繰り広げている。

 そもそも良い商品と言われるものは、それ自体に価値がある。他とは違う工夫があったり、原材料にこだわっていたりする。物語もあるだろう。だから、自分がすべき事はそのものの本質的な価値を見つけ、消費者に分かりやすく伝えるお手伝いである―。そうおっしゃっていた。

 また、梅原真さんと言う方が高知に住んでいる。その土地ならではの風景を守るデザインを信条に丁寧な仕事を続けている。彼は「製造する人と消費する人の間に入り、コミュニケーションのパイプを太くすることがデザイナーの仕事」と語る。
2人にとってデザインの役割とは発見であり、翻訳なのだろう。その過程で整理や編集、表現といった技術が必要になる。これは「他者起点」の活動である。誰かを幸せにするために。

 かたや、アーティストは「自分起点」。少なくとも、作品をつくり始めた瞬間は、誰かに頼まれたわけではない。むしろ、僕は両親から「頼むからアートだけはやめてくれ」と何度も諭された。創造行為は、自分の内側の欲求から始まっている。気が付いたら絵を描いているとか、完成した姿をどうしても見たいとか、そういう衝動だ。

 そして今を生きるアーティストたちは少なからず、この時代に影響を受けている。彼らが目を背けずにはいられない、とても純粋な「なぜ」がアートという表現手段によって世界に放たれる。(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)

=(11月10日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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