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この秋、福岡にアジアン・アート旋風が巻き起こる!【コラム】

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木下貴子
2017/11/01
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発生源は、福岡アジア美術館で開催される「サンシャワー展」

「アジアのゲイトウェイ」と謳う福岡市。このキャッチフレーズをまさに具現化しているのが、世界で唯一、アジアの近現代の美術作品を系統的に収集し展示する福岡アジア美術館(アジ美)です。そのアジ美にて、この秋、東南アジア10カ国の現代アートが集結するサンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在までが開催されます。夏に東京の国立新美術館・森美術館にて2館同時開催された大規模な展覧会の福岡展なのですが、そこは福岡市美術館時代から長きにわたってアジア美術を紹介・収集してきたアジ美のこと。単なる巡回展に留まらず、”福岡ならでは”の展開がされます。詳しくは開幕してから改めてレポートでお伝えしますが、簡単に説明すると「サンシャワー」展で紹介されている何人かのアーティストの、アジ美収蔵の過去作品や資料もあわせて展示される、というものです。担当学芸員たちも、アジア美術の専門館としての矜持と情熱とともに奮闘中との情報もキャッチ。どんな”福岡ならでは”の展示を見せてくれるのか、期待が高まります。

フェリックス・バコロール[フィリピン]《荒れそうな空模様》2009/2017年、作家蔵
展示風景:「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」森美術館、東京、2017
Photo: Kioku Keizo
Photo courtesy: Mori Art Museum, Tokyo

アジ美では「サンシャワー」展の関連企画として、同展出品アーティストが福岡に滞在し作品制作・発表を行う小企画展博多でつなぐ東南アジアも開催! アーティストはシンガポール出身でオーストラリア在住のアーティスト、スーザン・ヴィクターで、美術館を飛び出して、福岡市博多区の承天寺を会場に作品が展示されます。なんでも仏殿の前に高さ約4メートルもの大作が設置されるとのこと。歴史的な空間と現代アートがどのように共振するのか…必見です!

承天寺境内の様子

承天寺。仏殿の前に設置された大きな土台に、ヴィクターのインスタレーション作品が展示されます。

制作中の作品のアップ

制作中の様子。日の光りを受けキラキラと反射するビニール製の板が素材。天候や時間帯によって様々な表情を見せてくれそうです。

 

福岡をはじめ佐賀でも。連携企画やアジア関連の展覧会が多発!

大規模な美術展が開催される際、その街のあちこちで美術展が同時多発的に行われるという現象はよくあります。特に福岡の場合はそれが顕著で、例えばこれまでアジ美で何度も開催されてきた「福岡アジア美術トリエンナーレ」においても、毎回、民間のギャラリーやプロジェクトによる自発的な連携企画や展覧会、アートイベントなどが繰り広げられる様子が数多く見られます。美術展に便乗するという一面もあるかもしれませんが、それよりも、街を挙げて福岡のアートを盛り上げる、そんな印象が強い内容となっています。

"School of Akakura", Installation view at Echigo-Tsumari Art
Triennale, 2015. Photo courtesy of Navin Production.

今回の「サンシャワー」展でもまた、同様の動きが見られます。福岡のアート企画事務所&個人型アートセンターであるART BASE 88を中心に企画委員会が形成され、「サンシャワー」展の連携企画として虹の天気図がkonya-galleryにて開催される運びとなりました。福岡および周辺地域に滞在したアジアのアーティストと地元のアーティストとの関わりについて歴史を振り返り、今後のアジアと日本の関係性を考えることをコンセプトに、作品展示をはじめ、会期を通して、映像上映、トーク、フードイベントなどなど、実にパワフルに展開しています。

 

県をまたいで「サンシャワー」展との連携企画も勃発。佐賀市の「CAP studio」で開かれる展覧会「アート開拓事業」の一環として、11月5日にトークイベントAsian Arts Air Fukuoka , Gate07 Taipei, Tainan, Shanghai, “SUNSHOWER”」が開催されます。佐賀在住のギャラリーオーナーや佐賀大学の学生、「サンシャワー」展担当学芸員を交え、福岡と佐賀、アジアの多角的なつながりの構築を目指すという内容となっています。

 

他にも福岡では「art space tetra」でもアジアに関連する展覧会Asian Art Reply」や「From the Paces from the Space」、「三菱地所アルティアム」において九州・沖縄およびその周辺のアジアの「地域」に焦点を当てたシリーズ展Local Prospects 3などが、「サンシャワー」展と同時期に行われます。まさに、アジアン・アート旋風が巻き起こるこの秋の福岡(九州)。いろいろ巡って、多面的にアジア美術を見て、知って、感じてみてはいかがでしょうか!

 

 

 


●展覧会・イベントリスト(記事紹介順)

サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
11月3日(金・祝)~12月25日(月)
福岡アジア美術館

博多でつなぐ東南アジア
11月1日(水)~12月25日(月)
承天寺

虹の天気図
11月3日(金・祝)~12月25日(月)
konya-gallery

Asian Arts Air Fukuoka, Gate07 Taipei, Tainan, Shanghai, “SUNSHOWER”
11月5日(日)
CAP studio

Asian Art Reply ※3回シリーズ
10月27日(金)~11月9日(木)、11月3日(金・祝)、11月25日(土)
art space tetra

From the Paces from the Space
11月14日(火)~23日(土)
art space tetra

Local Prospects 3
11月11日(土)~12月3日(日)
三菱地所アルティアム

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