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【コラム】夏の夜にともる物語 特別展「大灯籠絵」㊤  現存する最大最古の傑作

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アルトネ編集部
2024/10/21
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 特別展「大灯籠絵」では、福岡市内の小さなコミュニティーで祭られてきた神仏の夏祭りに着目し、道辻に飾られる巨大な明かり「大灯籠」と、そこに描かれた武者絵などの大灯籠絵について紹介しています。

 市内で確認された大灯籠絵は現在約60点。最大のものは、福岡を代表する施餓鬼(せがき)供養「大浜流灌頂(ながれかんじょう)」で飾られていた縦2・9メートル、横5・4メートルの「大徳寺焼香之図」。作者の一得斎高清(いっとくさいたかきよ)は、明治時代中頃に福岡博多で活動した浮世絵師です。制作年代が分かる最も古い大灯籠絵の一つです。明治時代から昭和時代戦前期の福岡の年中行事などを記した「博多年中行事」では、著者佐々木滋寛が「博多の夏祭景趣をかざる」「大灯籠」の中でも、この絵を「傑作」と評しています。

大灯籠絵「大徳寺焼香之図」 一得斎高清

 1934(昭和9)年ごろまでは飾られていたこの絵は、58(昭和33)年に福岡県有形民俗文化財に指定された大灯籠絵に含まれておらず、失われたと考えられていました。しかし、3年前の調査で「再発見」に至りました。ぜひ会場でその迫力を体感してみてください。

(福岡市博物館学芸員・河口綾香)

◇ ◇
 福岡市早良区の市博物館で特別展「大灯籠絵」が11月4日まで開催中。同館の河口綾香学芸員がお薦めの展示品を紹介する。

=(10月4日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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