九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  コラム ›  ダヴィンチが描いた“生死を分ける一瞬”|「アンギアーリの戦い」展から<上>

ダヴィンチが描いた“生死を分ける一瞬”|「アンギアーリの戦い」展から<上>

Thumb micro 6e69b4f50a
アルトネ編集部
2018/05/30
LINE はてなブックマーク facebook Twitter
作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)
   《タヴォラ・ドーリア》( 《アンギアーリの戦い》の軍旗争奪場面)
   16世紀前半 フィレンツェ、ウフィツィ美術館(2012年、東京富士美術館より寄贈)
   Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

イタリア・フィレンツェの宮殿大広間に描かれた幻の壁画の謎に迫る「レオナルド・ダ・ヴィンチと『アンギアーリの戦い』展」が、福岡市早良区の市博物館で開催されている。市博物館学芸課の佐藤祐花学芸員が、注目の作品を紹介する。
   
 16世紀初頭、フィレンツェ政府は、レオナルド・ダヴィンチに、政庁である宮殿の大広間に壁画を描くよう依頼した。「最後の晩餐」を描き「モナリザ」に着手していたダヴィンチは当時50代。軍人チェーザレ・ボルジアに随行して戦場にも足を運んでおり、壁画は天才の円熟期の傑作となるはずだった。しかし、作品は未完に終わった。今は、残る模写やダヴィンチの手稿に残されたスケッチから、壁画を想像するしかない。
 「タヴォラ・ドーリア」(「アンギアーリの戦い」の軍旗争奪場面)は、幻の壁画の中心部分を忠実に描いていることがうかがえる。複雑にぶつかる人と馬、その緊張感ある表情や筋肉の表現は、それまでの戦闘画には見られない、生死を分ける一瞬を見事に切り取っている。
 一方、1440年にフィレンツェ連合軍とミラノ軍の間で起こった実際の「アンギアーリの戦い」は、死者が1人だったとされ、それほど激しい戦いではなかったのかもしれない。それでもダビンチが激烈な戦いとして描いたことで、この戦いは数々の戦いの中でも忘れられることなく、鮮烈なイメージとともに語り継がれることになった。
=5月22日西日本新聞朝刊に掲載=

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini 5b7f61eb8b
終了間近

BASE GALLERY HAKATA
⻄川勝人個展「ノクターン」

2025/03/28(金) 〜 2025/05/20(火)
BASE GALLERY HAKATA

Thumb mini 8f4137e089
終了間近

The ma.macaron Cat Hotel

2025/05/03(土) 〜 2025/05/20(火)
合同会社書肆吾輩堂

Thumb mini 2fac2ea3db

福岡ミュージアムウィーク2025
初めてのベビーカーツアー

2025/05/21(水) 〜 2025/05/22(木)
福岡市美術館 コレクション展示室

Thumb mini 12f2a7f709

第35回九州産業⼤学美術館所蔵品+展 「巴里、ルオー、ザッキン。」 + 「元倉眞琴 集まって住む」関連イベント
アート・トーク「建築がもたらす共同体と孤独」

2025/05/24(土)
九州産業大学15号館102教室

Thumb mini 9ba6134a20

福岡ミュージアムウィーク2025
建築ツアー

2025/05/24(土)
福岡市美術館

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini c5b7966439
ニュース

祝!3万人突破!!福岡市博物館『レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展』

Thumb mini 2c4c59abbb
レポート

レオナルドVSミケランジェロ、“幻の壁画競演”をめぐる展覧会とは?【レポート/後編】

Thumb mini 388b314916
レポート

レオナルドVSミケランジェロ、“幻の壁画競演”をめぐる展覧会とは?【レポート/前編】

Thumb mini ac15e46045
コラム

大分県立美術館開館10周年記念展「LINKS―大分と、世界と。」みどころ① 日本の初期洋画史に大分出身の立役者あり。藤雅三と九州の洋画家たち

Thumb mini 491d79572d
コラム

【コラム】那珂川市出土の古代墳墓 歴史の謎 解明諦めず  大野城心のふるさと館で開催中の展覧会でその一部を公開中

特集記事をもっと見る