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時代、地域を越えて広がるダヴィンチの影響|「アンギアーリの戦い」展から<中>

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アルトネ編集部
2018/05/31
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ピーテル・パウル・ルーベンスに帰属(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)
《アンギアーリの戦い》17世紀初頭
ウィーン美術アカデミー絵画館
Gemäldegalerie der Akademie der bildenden Künste Wien


 レオナルド・ダヴィンチが「アンギアーリの戦い」の壁画を描いてから約100年後、ベルギーとフランス、オランダにまたがるフランドル出身の画家ルーベンスは、イタリアで美術を学んでいた。後にバロック時代の巨匠といわれる若者は、そこで幻の大作に引きつけられる。
 すでにダヴィンチのオリジナル作品は姿を消していたが、構図は模写によって受け継がれていた。ルーベンスが描いたとされる「アンギアーリの戦い」は、時代、地域を超えて、広がっていくダヴィンチの影響がよくうかがえる。複雑な構図や躍動感は継承しつつ、軍旗が赤く描かれ、そのさおは折れているなど、ただ写すだけではなくいくつかの変更が加えられる。光の当たり方を用いたドラマチックな表現はバロック時代の特徴だ。作者が「ルーベンスに帰属」とあるのは「作」とするだけの決定的な証拠がないため。研究は今も続いている。
 会場には、この軍旗争奪の場面を描いた地域、画材が異なる作品が6点展示されている。立体復元彫刻もあり、ダビンチが描いた壁画の「その後」を、さまざまな時代からみることができる。=5月23日西日本新聞朝刊に掲載=

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